厚労省が1月30日に発表した調査(2010年)によれば、たばこの喫煙率が19.5%と、'86年の調査開始以来、初めて20%を切ったのだという。
 厚労省では「健康意識の高まりやタバコ増税が影響しているのではないか」と見ており、「喫煙率が下がったことでタバコは値上げせざるを得ない状況になる」(経済記者)と、喫煙者にとってますます肩身が狭い環境になりそうだ。

 しかしその一方で、値上げをほくそ笑んでいるのが、“偽セブンスター”など日本の銘柄を偽造する北朝鮮だという。
 「今も中国を経由して北朝鮮で作られた偽タバコが日本の闇市場で売られています。値段は270円と手頃で、味も悪くはない。今後、覚せい剤の製造に代わってタバコの偽造が北朝鮮の国家事業になることが予想されます」(ノンフィクションライター・窪田順生氏)

 実はタバコの原料となる葉たばこは、陽当たりが悪くやせた土壌でも十分生育する。当然、食糧危機に喘ぐ北朝鮮でも畑作できるわけだ。となれば、日本のタバコ産業はひっ迫するばかり…と思いきや、そうでもないらしい。
 「日本の葉たばこ農家は6000軒あります。JT(日本たばこ産業)は、それらを高額な値段で買い上げて倉庫にしまってある。今販売されている銘柄のタバコは、アフリカなどの貧しい国で収穫された葉たばこを、JTの子会社が買い取り、海外の工場で製品にしたものです」(同)

 なるほど。であれば、日本の葉たばこを使ってタバコを生産すれば、もっと良質のタバコができるはずである。しかしJTは、海外の販売だけで、すでに売上げ的には世界トップクラス。何も日本でタバコを販売しなくても十分元が取れるのだという。
 「JTにとっては、どんどん値上げして喫煙者が少なくなり、国の義務付けのために買い上げている日本の葉たばこ農家が、全て転作してくれた方がいいぐらいなのです」(同)

 東京・山谷、大阪の西成あいりん地区などでは、値段が手頃な『新生』『若葉』といった懐かしいタバコが飛ぶように売れているという。国内の値上げにニセたばこの流入…愛煙家は今後も翻弄され続けるだろう。