埼玉スタジアムとその周辺で朝から計5試合。 
今年から始まったユース年代の「お祭り」である。 
 
高校生年代の「ピラミッド」が一段高くなった。 
今年からプリンス、都府県の上に「プレミア」が誕生。 
東西10チームずつが参戦してリーグ戦を戦っている。 
昇降格は2チームずつで、下位2つが自動降格だ。 
昇格は全国9プリンスから計4チームとなる。 
「東」は北海道、東北、関東、北信越、東海から2枠。 
「西」は関西、中国、四国、九州から2枠だ。 
高校選手権、Jユース杯もあり何試合もやる時間はない。 
だから協会がカードを決め、 
最大2試合、基本は一発勝負の「参入戦」をやる。 
 
「チャンピオンシップ」の前座として4試合が組まれた。 
会場は埼スタのサブグラウンド。 
顔合わせがこうなっている↓ 
鹿島ユース(関東)×星稜(北信越) 
磐田(東海)×旭川実業(東北・北海道) 
神戸U−18(関西)×大津(九州) 
作陽(中国)×済美(四国) 
 
第1試合は鹿島と星稜の対決を見た。 
鹿島はプリンス関東1部を制した。 
マリノスや市船が残留争いに巻き込まれ、 
大宮が降格するという激闘を12勝3分3敗である。 
ブラジル人のキッカ監督が結果を出しましたね。 
星稜は北信越1部のチャンピオン。 
2位・新潟ユースに勝点4差をつけている。 
 
鹿島アントラーズFCユース 
GK  1 須賀健太  93.04.23 182/80 フッチSC 
DF  6 飛田啓介  94.06.26 173/60 鹿島ノルテJY 
    4 内野淳   93.04.08 184/75 鹿島アントラーズJY 
   12 植野元紀  94.07.21 184/73 アルバランシア熊本 
    2 山田尚哉  93.10.03 172/63 鹿島アントラーズJY 
MF  3 斉藤駿介  93.06.28 177/72 つくばFC 
    5 橋本龍馬  94.10.24 173/63 鹿島アントラーズJY 
    8 西室隆規  93.06.02 172/68 フォルトゥナSC 
FW  7 鈴木隆雅  94.02.28 182/70 FCみやぎバルセロナ 
    9 中川義貴  93.07.14 178/77 鹿島アントラーズJY 
   11 宮内龍汰  94.03.02 173/70 鹿島アントラーズJY 
 
−−宮内−−−中川−−−鈴木−− 
−−−−西室−−−−橋本−−−− 
−−−−−−−斉藤−−−−−−− 
−山田−−植野-−内野-−飛田啓− 
−−−−−−−−−−−−−−−− 
−−−−−−−須賀−−−−−−− 
 
星稜高校 
GK  1 置田峻也  95.01.17 184/78 セレッソ大阪U15 
DF  5 尾上朋大  94.04.01 174/58 名古屋グランパスU15 
    4 山田直樹  93.11.19 186/66 FC小松 
   22 舟橋侑輝  94.11.07 180/71 金沢SC 
    2 三好諒   94.01.01 170/66 鹿島ノルテ 
MF  7 中野駿   94.07.18 166/52 星稜中 
    8 井田遼平  94.09.11 171/64 星稜中 
   13 古川裕也  93.12.12 164/60 愛宕中 
   25 寺村介   95.12.27 155/50 FC四日市 
FW 10 辻拓郎   94.01.03 175/68 名古屋グランパスU15 
    9 中島秀隆  94.03.29 175/73 金沢SC 
 
−−−−-辻-−−−−仲谷−−−− 
−−寺村−−−−−−−−古川−− 
−−−−−井田−−中野−−−−− 
−三好−−舟橋−−山田−−尾上− 
−−−−−−−−−−−−−−−− 
−−−−−−−置田−−−−−−−
 
 
鹿島の布陣はオーソドックスな4−3−3だ。 
3トップは強力。何しろ全員の昇格が内定している(笑) 
引いたり、入れ替わったりと位置取りがスムーズだった。 
中盤は潰し、フォローのいい「明神系」が3枚並ぶ。 
山田尚哉、西室隆規、鈴木隆雅がレフティーだ。 
鈴木隆雅はCBをやることが多いけど、 
高校の途中まではアタッカーをやっていた選手。 
パワフルなドリブルが持ち味である。 
スタートは右FWで、途中から左に回る時間が増えた。 
 
星稜もオーソドックスな4−4−2。 
中盤4人がほぼフラットで、守備はゾーンを作る対応だ。 
辻拓郎はMFでなく、2トップに入っていた。 
本来はどの選手もボールが持てるチームである。 
ただ今日はしっかり「蓋」をして、カウンターに勝機を見出す構え。 
無理につながず、大きく跳ね返す狙いが多い。 
「シンプル」が選手の合言葉となっていた。 
序盤からロングボール、ハイボールにはきっちり対応。 
山田直樹は186cmの長身。「上」が抜群だ。 
 
14分、鹿島は右CKを飛田啓介が右足で入れる。 
内野淳がファーからヘッドを落とす。 
宮内龍汰がボレーを合わせた。 
枠を捉えたけどGK置田峻也がブロック。 
 
22分、鹿島は山田尚哉に警告。 
24分、星稜は山田直樹に警告。 
 
少しずつ鹿島が押し込み始める。 
鹿島は中盤の構成で特に光るチームではない。 
ただ3トップの「個」が強く、パワフルで突破が効く。 
星稜は中盤で起点を潰されていた。 
SBは3トップの対応に忙殺されて出て行けない。 
鹿島の両CBは「パワー系」だけど、 
星稜2トップの裏狙いもきっちり跳ね返していた。 
 
30分、鹿島は鈴木隆雅が左サイドを突破。 
エリア左から左足の強烈シュートを狙う。 
枠を捉えたけどGK置田峻也がブロック。 
 
37分、星稜は三好諒に警告。 
 
42分、鹿島は右スローインから崩す。 
宮内龍汰が左に開く。 
山田尚哉は左足ミドルを狙う。 
決定的だったけどGK置田峻也がブロック。 
 
45分、鹿島は右サイドからのFKを山田尚哉が左足で入れる。 
星稜のCBがゴール前からヘッドを跳ね返す。 
しかしこれが短くゴールの正面。 
斉藤俊介が右足のボレーを叩き込んだ。 
<鹿島アントラーズユース 1−0 星稜高> 
 
鹿島が前半最後の「いい時間」に先制して試合は折り返し。 
攻めあぐねる時間が多かったけど、最後にきっちり決めた。 
 
48分、鹿島は左サイドからのFKを橋本龍馬が右足で入れる。 
ファーに流れて宮内龍汰がヘッドを競る。 
GK置田峻也が腕を伸ばすも届かない。 
宮内の頭を掠めるようにして、ファーサイドぎりぎりに収まった。 
<鹿島アントラーズユース 1−0 星稜高> 
 
52分、星稜は中島秀隆→采女優輝。 
采女はそのまま2トップに入る。 
 
52分、鹿島は中川義貴がゴール右に抜け出してシュート。 
GK置田峻也のブロックが相手の前にこぼれる。 
宮内龍汰がフリーでヘッドを押し込む。 
かなり決定的だったけど枠の上に外れた。 
 
58分、鹿島は鈴木隆雅が右サイドからドリブル。 
ゴールの脇まで切れ込んで、左足でシュートを狙う。 
決定的だったけどGK置田峻也がブロックする。 
 
後半も鹿島が試合をコントロールし、 
リスクは抑えつつも決定機を迎えていた。 
 
64分、鹿島は中川義貴→鳥波将斗。 
鹿島はこの時間で背番号10の鳥波を起用する。 
キッカ監督曰く「スピードはないけど技術がある」選手。 
「前半はガチガチになると予想していた」ので、 
後半まで温存しておいたとのことである。 
 
64分、星稜は古川裕也→稲垣拓斗。寺村介→東拓実。 
寺村介は小柄で1年生だけど、技術的に素晴らしかった。 
 
星稜の布陣がこう↓ 
−−−−采女−−−−-辻-−−−− 
−−-東-−−−−−−−−井田−− 
−−−−−中野−−稲垣−−−−− 
−三好−−舟橋−−山田−−尾上− 
−−−−−−−−−−−−−−−− 
−−−−−−−置田−−−−−−−
 
 
78分、鹿島は宮内龍汰→梶野勇太。 
80分、星稜は辻拓郎→仲谷将樹。 
81分、鹿島は橋本龍馬→飛田泰平。 
飛田泰平は飛田啓介と双子の兄弟。 
 
82分、鹿島は梶野勇太がドリブルからスルーパス。 
鳥波将斗がエリア右からシュートを狙う。 
GK置田峻也がブロックした。 
 
82分、星稜は三好諒→掃部智寛。 
なおこの試合はベンチ入り7名。交代枠が5名だ。 
星稜の最終布陣がこう↓ 
−−−−采女−−−−仲谷−−−− 
−−-東-−−−−−−−−井田−− 
−−−−−中野−−稲垣−−−−− 
−掃部−−舟橋−−山田−−尾上− 
−−−−−−−−−−−−−−−− 
−−−−−−−置田−−−−−−−
 
 
88分、鹿島は鈴木隆雅→徳野舜。 
89分、鹿島は西室隆規→渡辺龍太。 
鹿島の最終布陣がこう↓ 
−−梶野−−−鳥波−−−徳野−− 
−−−−−−−渡辺−−−−−−− 
−−−−-飛田泰-−斉藤−−−−− 
−山田−−植野-−内野-−飛田啓− 
−−−−−−−−−−−−−−−− 
−−−−−−−須賀−−−−−−−
 
 
試合はそのままタイムアップ。 
鹿島ユースが2−0で星稜を下し、 
来季の「プレミアイースト」昇格を決めた。 
 
今年の鹿島ユースは面白かった。 
「鹿島が鹿島化」しましたね。 
高校生らしからぬ「マリーシア」が身についている。 
オフサイドやハンドのアピールは4,5人が一斉に挙手(笑) 
主審に取られない「ギリギリ」で手を使ったり。 
試合のコントロールも秀逸だ。 
相手の持ち味を消し、無駄なリスクを負わない。 
現実的、狡猾で「育成年代っぽくない」のである。 
スペインやオランダ、フランスの「世界標準」も悪くない。 
ただブラジルはやっぱり面白いなと思った。 
 
試合後のコメントです。 
☆キッカ・鹿島アントラーズユース監督: 
●試合前の準備 
まず県大会決勝のビデオを見て、星稜を分析・研究をした。 
選手の特徴について、選手に情報を与えた。 
我々のシステムは変えていない。 
ただいつもの布陣の中で、彼らにどう動くか有効かを伝えた。 
●星稜の特長 
10番(辻拓郎)は器用でスピードがある。 
決勝では一つ(中盤に)下がって、 
FWと入れ替わる、抜け出す動きをしていた。 
●試合の評価 
チャンスで決め切れなかったけど、 
一番怖いのは「外すことから相手に流れが行く」こと。 
今日はそうならず、試合を最後までコントロールしていた。 
●シーズン振り返り 
自分もスタッフも、選手を信じていた。 
そうすると彼らも自然に付いてきてくれる。 
一回勝つごとに、絆が深まった。 
●「勝負にこだわる」ことについて 
試合前にビデオを見ても、本番は相手が変わることもある。 
ただ情報があるないで準備が違う。 
選手はプロを目指している。 
戦術的な分析をする習慣は、将来的にも役立つ。 
考えながらやることが必要だ。 
●来季への抱負 
引き続きレベルアップを図る。 
昇格が嬉しい反面、プレミアはより難しいカテゴリーだ。 
ただ一番上のリーグだと、新入生が入りやすくなる。 
それを考えると、鹿島全体にとって良かった。 
我々の仕事は試合で勝つことだけど、 
トップに選手を出すことも大事。 
能力の高い子が入れば、トップ昇格を出しやすくなる。 
結果を出して、選手に「勝者の感覚」を持たせたい。