欧州連合(EU)がリスボン条約を改正することを決めました。

リスボン条約とは簡単に言えば欧州憲法のことです。

しかし正式にはそう呼ばれないし、そう呼ぶことは許されません。

その背景を説明します。

2001年に元フランスの大統領だったジルカール・デスタンが欧州憲法制定のための協議会の委員長に選ばれ、彼の下で憲法案が作られました。

そして先ず欧州憲法草案に最も深く関与した中心国であるフランスとオランダで国民投票に付されたのですが、これが両方の国でアッサリと否決されてしまいました。

普通ならこれで欧州憲法制定の努力は頓挫というところですが、ブリュッセルは「これらの国の国民は、まちがっている!」という考えから何とか国民投票を迂回して欧州憲法に近いものを策定しようと企み、死んだはずの欧州憲法を墓場から蘇らせました。

これがリスボン条約なのです。

この迂回作業のおかげでリスボン条約は本文の分量が7万6千語もある膨大な法律文書となりました。(因みに合衆国憲法は僅か7200語だと言われています。)

リスボン条約は慎重に国民投票の必要性を取り除くようにデザインされたのですが、それでもアイルランドの憲法には国家の権限の所在に対する規定が明記されていた関係でリスボン条約を認めるかどうか国民投票にかけざるを得なくなりました。

案の定、アイルランド国民はリスボン条約を否決しました。

それでもEUはリスボン条約に固執し、アイルランドは国民投票でEUにタテをついた行為をとがめられ、有形無形のプレッシャーを受けたのです。
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