情報工学を専攻した人や学生時代からパソコンマニアだった人以外は、どんなにパソコンが得意なつもりでも、会社に入れば実践で鍛えた先輩にはかなわないことが多い。無理して対抗意識を燃やさずに、先輩からは謙虚に教わる気持ちでいるべきである。

しかし、パソコン中級ユーザーと呼ばれる一部の先輩には要注意である。正しい作法を教えず、裏ワザとか大して役にも立たないカスタマイズとかばかり教えたがり、ついにはあろうことか非違行為まで教えることがあるからだ。

中級ユーザーが自分で実践し、やたらと人に勧めたがる行為が、ウィルス対策ソフトや業務に必要なサービスを停止させてシステムの快適化を図ろうとするものだが、全くの下策である。

確かにウィルス対策ソフトのディスク走査や資産管理ソフトのパッチ配布処理を止めてしまえば、システムは快適に見えるかもしれない。

しかし、社員の仕事は本人だけの仕事でないのと同様に、支給されているパソコンもそれ単独で動いているのではない。

一つのパソコンでセキュリティリスクが増大すれば、それはネットワークで結ばれている全社システムに影響を及ぼすのだ。そのために会社のパソコンは個人のパソコンとは比較にならない多額のコストをかけて管理されているのである。

また、勝手なソフトウェアインストールを推奨してくるのも中級ユーザーの特徴である。しかし、「これ、便利だからインストールして使えよ」と言って渡されたCD-ROMは果たして正規のライセンス内のものであるかどうかは、システム管理部門に確認しなければわからない。

不用意にライセンス違反のソフトウェアをインストールしてしまうと、会社自体が告発されて、信用を失墜した上に、賠償金の支払い義務を負うことになる。

仮にライセンス上問題なくても、一つのソフトウェアのインストールに伴い導入される共有モジュールが、他のモジュールと競合してしまい、システムの調子をおかしくすることがある。

こうした行為の末に起動しなくなったパソコンの復旧に費用がかかった場合、その費用は勝手な行為をした社員の負担になるのが原則である。仮にお目こぼしされたとしても、キツいお叱りが待っていることだろう。

会社のパソコンは、原則として支給された状態のままで使用し、指示されたメンテナンス作業以外の余計な行為をしないよう、新入社員の心得として覚えておきたいものである。
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)

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