■第9試合 UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R
[挑戦者]ブロック・レスナー(米国)
Def.2R3分7秒/TKO
[王者]ランディー・クートゥアー(米国)

体重差20kg、年齢差14歳、キャリアの差は10年。MGMグランド・ガーデンアリーナを埋め尽くした観客が総立ちとなる中、レスナー、クートゥアーの順で入場。オクタゴンに姿を現した両者だが、NCAAレスリング王者とコールされたレスナーに対し、その大歓声が一転、大ブーイングが浴びせられた。

大ブーイングを数倍の規模で上回る大歓声、クートゥアーに後押しの声が津波のように打ち寄せ、試合がスタート。レスナーが右、クートゥアーが左の拳を前に出し、ホーンが鳴った。

大ランディ・コールの中、まずは組みついた両者。ワキを一本差したクートゥアーだが、体の違いは明らか。右を軽く当てたレスナーに対し、クートゥアーの力が籠った右が顔面に襲いかかる。

距離をとった両者、ここでレスナーがタックルを仕掛けた。レスナーはケージを背にして倒れないよう試みるクートゥアーの両足をぶっこ抜くように引き寄せ、テイクダウンを奪う。マウントを狙ったレスナーに、クートゥアーが片足タックルでトップを奪い返すが、立ち上がったレスナーがクートゥアーを投げる。

ハーフガードから左のパウンドを落としたレスナーに、ケージを蹴りあげて、潜りスイープのように片足タックルを狙うクートゥアーが立ち上がることに成功した。

ふとももにヒザを入れるクートゥアー、レスナーは倒されないようにケージを掴む。ハイクラッチでレスナーの巨体を持ち上げるようとすると、ランディ・コールが彼を後押し。ここで1Rが終了するが、クートゥアーへの声援はインターバル中も止まらない。

2R、パンチで前に出るクートゥアーの顔面に、レスナーの右腕がヒットする。動きが止まったように見えたクートゥアーだが、押しこんできたレスナーの体を入れ替え、ケージに追い込んでいく。と、離れ際に右ストレートをヒットさせたクートゥアーは、距離がつまるとアッパー、左フックをかわして右フックをヒットさせる。

打撃戦で不利なレスナーは、テイクダウンをしかけるが、これもクートゥアーは受け止め、ケージにレスナーを押し込んでいく。差し合いが続く中、両者がヒザ蹴りを出し合い、距離を取る。

その直後にレスナーが左から右を放ち、これがクートゥアーの左側頭部をかすめるようにヒット。そのまま前のめりに崩れ落ちた鉄人に、容赦なく鉄槌を落とし続けるレスナー。なんとか、片足タックルを仕掛けようとしたクートゥアーの動きが止まり、頭が上下に揺れ続けると、レフェリーがついに試合をストップ。ブロック・レスナーが、キャリア4戦目でUFC世界王座につくという快挙を成し遂げた。

試合後には、「こんな若造にチャンスをくれたランディー、UFCに感謝したい」と述べたレスナーに、クートゥアーは「エクストリーム・クートゥアーのトレーニングのおかげで、大きな相手とも戦えた。まだ強くなっている」と、引退を否定するコメントを残した。

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