アーセナルのGKイェンス・レーマンが不満を爆発させている。現在、スペイン人のマヌエル・アルムニアに正GKの座を譲っているレーマンは、指揮官のアーセン・ベンゲルに対し、「このまま出場機会が与えられない状態が続けば黙っていない」とコメント。指揮官への脅迫ともとれる発言は、今後物議を醸すことになりそうだ。

 シーズン開幕2試合目のブラックバーン戦(8月19日)で、同点ゴールに繋がるミスを犯し、厳しい批判に晒されたレーマン。直後にアキレス腱とヒジに負傷を負った37歳は、長期離脱を強いられていた。それでも、13日に行なわれたユーロ2008予選のアイルランド戦に出場し、ドイツ代表の本大会出場権の獲得に貢献したことで、アーセナルでも復帰は間近と見られていた。しかし、ベンゲル監督はレーマン不在の間にゴールマウスを守り続けたアルムニアを正GKに固定。20日のボルトン戦ではレーマンをベンチ入りメンバーからも外す非情な采配を振るった。

 この状況に怒りを隠さないドイツ代表は、ドイツのテレビ局の取材に応じ、ベンゲルに対する不満を表明している。

「いくら監督でも、選手に長期間屈辱を与え続ける権利はない。私だって、いつかは不満を爆発させたくなるかもしれない。今はこの屈辱に耐えている。誰しもが通る道だからね。しかし、私もアーセナルの一員であり、このまま黙って立ち去るつもりはない」

 さらにレーマンは、「アーセナルにはワールドクラスのGKが3人いる」と語ったベンゲルの発言に反発。シャルケ時代にブンデスリーガとUEFAカップでタイトルを獲得し、2004年にはプレミアリーグの優勝も経験しているベテランは、アルムニアと新加入のルカシュ・ファビアンスキを「まだまだチームを勝たせるGKではない」と酷評している。

「ワールドクラスが3人いるって? そのうち一人は間違いなく私だろう。それで、あとの2人はタイトル獲得に貢献して、自らの実力を証明したことがあっただろうか? 私の知る限りではないはずだが。近頃は、それでもワールドクラスと呼んでもらえるんだろう。アルムニアにしても、まだチームを勝たせることが出来る選手ではない。まだGKに求められることが分かっていない。私がスタメンの座を取り戻すのも時間の問題だ」

 監督だけでなく、同僚にまで不満をぶつけたレーマン。その言動に対し、クラブ側が何らかの処分を下す可能性は極めて高い。このまま指揮官との対立を深めるようであれば、2度とアーセナルのゴールマウスを守らないまま、ロンドンを離れる可能性も十分にあると言えるだろう。