『シングルベッド』のジャケ。脱退したしゅう(左下)が写っているところが泣ける。※8cmCDの写真は表裏を合成(以下同)。

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アニメとのタイアップでJ-POPを売る、というビジネスモデルは定着した感がありますが、それら楽曲がアニメソング(以下アニソン)として正しく機能しているとは限りません。ここ数年はマシなってきたようですが、中にはアニメファンを困惑させる曲も少なからず存在します。

今回は、アニメとJ-POPの関係を探る一環として、J-POP史上に名を残す有名バンドがアニソンとどう取り組んできたかを考察してみます。スペースの都合上、TVアニメにのみフォーカスを当てていたり、一部関連作品が抜け落ちてたりしますが、そこはご了承ください。

なお、ここで紹介した曲はすべてネット上で見ることができます。詳しい方法は伏せますが、各項目の下に書いてある魔法のコトバを使えば、アニメのOPやEDを実際に確認できます。ヒントはよ●つべ。後は自己責任でよろしくです。

※楽曲データの統一表記は以下の通り。
オープニングテーマ=OPテーマ。エンディングテーマ=EDテーマ。初代(1st)二代目(2nd)三代目(3rd)四代目(4th)〜。
※最後までテーマに変更がなかったものには記載なし。ここでいう「アニソン度」は「アニメのテーマソングとして機能しているかどうか」を判定するものです。カラオケで盛り上がれるかどうかじゃありませんのであしからず。

■シャ乱Q(1988年結成)■ 〜つんくの空回りぶりは異常〜

『シングルベッド(1994)』:TVアニメ『D・N・A2』EDテーマ
●寸評 切ないメロディと歌詞が印象的なバラード。大ヒットした名曲だが、主人公が高校生というアニメの設定は置いてけぼり。
<アニソン度★★☆☆☆>

『愛 Just on my Love(1998)』:TVアニメ『魔術士オーフェン』OPテーマ(1st)
●寸評 つんく節全開のアップテンポな曲。ファンタジー要素が全くないのがテーマ曲として難あり。
<アニソン度★★★☆☆>

[解説] ヴォーカルのつんくは、Zガンダムが好きだったり、過去に椎名へきる(声優)とミュージックステーションで共演した際に本人の前でファンを公言するなど、なかなかのスキルの持ち主。アニソン的には、良くも悪くもお水っぽいイメージのヴォーカル&サウンドが災いして、貢献度はいまひとつなのが残念。個人的にはギャグアニメのテーマソングとかならいけそうな気がするんですが、どうでしょうか。初期の名曲『ラーメン大好き小池さんの唄』とか最高ですし。
※魔法のコトバ「DNA2」「Orphen」
『シングルベッド』のジャケ。脱退したしゅう(左下)が写っているところが泣ける。※8cmCDの写真は表裏を合成(以下同)。『愛 Just on my Love』のジャケ。表面のアーティスティックなデザインと、裏面のアニメ全開デザインのギャップがカオス。


■L'Arc〜en〜Ciel(1991年結成)■ 〜hydeの声はアニメによく似合う〜

『Blurry Eyes(1994)』:TVアニメ『D・N・A2』OPテーマ(※同アーティストのメジャーデビュー後初のCDシングル)
●寸評 『D・N・A2』のテーマを暗喩するかのような歌詞(おそらく偶然)と、ラルク独特の耽美な味わいのあるメロディが絶品。
<アニソン度★★★★☆>

『the Fourth Avenue Cafe(1997)』:TVアニメ『るろうに剣心』EDテーマ(4th):※元メンバーsakura逮捕により発売中止。その後2006年に発売。
●寸評 メンバー逮捕により4週で差し替えになった曰く付きの曲。どこが「るろ剣」なのかさっぱりわからないラブソング。いい曲ではある。
<アニソン度★★☆☆☆>

『Driver's high(1999)』:TVアニメ『GTO』OPテーマ(1st)
●寸評 クルマ用語つながりも功を奏し、違和感のないタイアップ曲に仕上がっている。やや爽やか過ぎて「テーマ曲感」が失われているのは残念。
<アニソン度★★★☆☆>

『READY STEADY GO(2004)』:TVアニメ『鋼の錬金術師』OPテーマ(2nd)
●寸評 激しくビートを刻むハードな編曲の疾走感はマル。サビ以外のメロディがやや大味なので、まとまりに欠ける印象がある。
<アニソン度★★★☆☆>

[解説] ラルクが歌うアニソンは国内外で高い評価を受けていますが、一般には、ラルク=アニソンバンドというイメージは希薄なようです(個人的には立派なアニソンバンドなんですけどね)。同バンドはデビュー以降、定期的にアニメとのタイアップを行っていますが、その理由のひとつにリーダー・tetsuのアニメ好きが挙げられます。

特にガンダムを愛した彼は、後にバンダイと組んでモビルスーツフィギュアのプロデュースなども行っています。メンバーも影響を受けたようで、あまりにtetsuがガンダムを語るので興味を持ったhyde(ヴォーカル)がレンタルビデオ屋に行ったところ、なんと全巻貸し出し中で借りられないことが判明。そこに偶然tetsuが現れて、hydeが「ガンダム借りに来たの?」と質問したところ「いや返しに来た(全巻)」と答えたそうです。実にイイ話ですね。

メジャーデビューから今年で15年。途中、活動中止の危機があったり、ナチュラルメイクなのに太田光にヴィジュアル系と言われたり、『マシューTV』出演時にhydeの頭にタライを落とされたりと、山あり谷ありのバンド人生でしたが、これからもめげずに頑張っていただきたいと思う次第。中尉はラルクの味方です。
※魔法のコトバ「DNA2」「Rurouni Kenshin end」「GTO」「Full Metal Alchemist」
『READY STEADY GO』のジャケ。ラルクのCDは本人達が写ってないものが多い。裏面もこんな感じなので、これだけ見るとアニメの主題歌CDとは判断できない。


■ポルノグラフィティ(1994年結成)■ 〜デビュー時の輝きを取り戻せ!〜

『ヒトリノ夜(2000)』:TVアニメ『GTO』OPテーマ(2nd)
●寸評 完全無欠の『GTO』OPテーマ。歌詞、曲、アキヒトの歌声、後半にかけて盛り上がっていく編曲……、文句なしの満点です。
<アニソン度★★★★★>

『メリッサ(2003)』:TVアニメ『鋼の錬金術師』OPテーマ(1st)
●寸評 『鋼の錬金術師』とのコラボが決定した後、「自己犠牲」をテーマにして作られた名曲。あえて原作を読まずに制作されたので、歌詞の狙いに若干迷いを感じる。
<アニソン度★★★★☆>

『Winding Road(2006)』:TVアニメ『天保異聞 妖奇士』EDテーマ(1st)
●寸評 アニメは妖怪退治&時代劇という内容。そんな作品のEDに流れる曲としては乙女チックすぎる。よって低評価。
<アニソン度★★☆☆☆>

[解説] 『Winding Road』は2004年にメンバーのTama(ベース)が脱退したあとに制作されたアニソン。Tamaが抜けてから、ポルノはポルノらしくなくなったという声があるようですが、この曲の迷走ぶりを前にすると思わず納得してしまいます。なんだか出始めのころの「がむしゃら感」が年々失われているような気がするのですが……(今も決して悪くはないんですけどね)。
※魔法のコトバ「GTO」「hagaren OP」「ayakashi ayashi」
『ヒトリノ夜』のジャケ。裏面は、ポルノのジャケの上に、アニメ版のジャケ(ペラ一枚)が重なっていた。プロモ用と明記されているが中古店で買えた。『Winding Road』のジャケ。包装フィルムの上に、アニメのテーマ曲であることが書かれたシールが貼られている。アキヒト&ハルイチのツーショット。バックの絵が妖怪絵巻っぽいのは、アニメへのオマージュなのだろうか?


▲▲おまけ:大事故レベルの勘違いテーマ曲▲▲▲

■JUDY AND MARY(1992年結成)■ 〜トラウマ級の暴力的コラボ〜

『そばかす(1996)』:TVアニメ『るろうに剣心』OPテーマ(1st)
●寸評 イントロを聴いただけで「なんじゃこりゃああああ!」と叫びたくなる。どう考えても「るろ剣」のテーマとは思えない。

[解説] 『そばかす』は今でも人気のPOPソングですが、アニソン史上においてはまれに見る怪曲として知られています。POPでCUTEなYUKIのヴォーカルは、もはや作品の世界観を無視しているとかいうレベルを超越して、完全にデストロイ!

ちなみに『るろうに剣心』は明治初期が舞台の剣客もので、血が飛び散るシグルイチックな作品。にもかかわらず、このテーマ曲はジュディマリの勘違いによって『キャンディ・キャンディ』のイメージで制作されてしまい、こんな可愛い曲に……。まさに悪夢。私は、このOPテーマのヒドさに挫折して、アニメ版「るろ剣」は断片的にしか観る事ができませんでした(泣)。こういうことは本当に止めていただきたい。ダメ主題歌を世に出して、得する人などいないのですから!
<アニソン度☆☆☆☆☆>※評価不能
※魔法のコトバ「Kenshin Op」
まさかこのCDを買うことになろうとは……。気のせいか裏ジャケは設定資料の絵を並べただけの手抜きに見える。このやる気のなさは、アニメサイドスタッフの無言の抗議の表れなのだろうか(妄想)。


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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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