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もくじ

ー 米国で大人気 待ちに待った欧州デビュー
ー 2グレードで販売 パフォーマンス・モデルも追加へ
ー 生産能力がネック 充電有料化で収益拡大へ

米国で大人気 待ちに待った欧州デビュー

テスラ・モデル3は、今週開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで欧州デビューを飾る。なお、右ハンドルの生産開始は1年後の見込みだ。

出展されるとは言っても、有名なヒルクライムには参戦せず、あくまで米国仕様の展示にとどまる。それでも、英国を含む欧州の人々がモデル3を間近で見ることができる初の舞台なのは間違いない。

モデル3は増産を続け、6月最終週には週5000台ペースに達した。しかしこれは、2018年第2四半期末を期限に、テスラ自身が設定した目標を達成したに過ぎない。増産するためにカリフォルニア工場では「仮設テント」が設置され、その中で新たな生産ラインが稼働している。

モデル3の注文は50万台分に達し、デリバリーは現在12カ月から18カ月待ちと予想されている。米国での価格は値引き前で、3万5000ドル(384万円)からだ。
 

2グレードで販売 パフォーマンス・モデルも追加へ

モデル3は50kWhと75kWhモデルの2種類が準備される。

75kWhモデルは一回の充電で499km走行可能だという。価格は4万4000ドル(483万円)からで、0-97km/h加速は5.1秒、最高速度は225km/hだ。

50kWhモデルの航続可能距離は354km。0-97km/h加速は5.6秒で、最高速度は210km/hと、航続距離以外でも若干の差がある。

エントリーモデルの英国での予想価格はおよそ3万ポンド(436万円)で、これは英国政府からの補助金4500ポンド(65万円)を適用した後の価格である。そのため、価格やサイズの点からいえば、アウディA4やBMW 3シリーズ、ジャガーXE、メルセデス・ベンツCクラスと競合する。とはいえ、現在生産されているのは左ハンドルのみで、英国仕様の右ハンドルの生産開始は2020年以降だ。

パフォーマンスモデルも遅れて登場する予定だが、マスクCEOによれば、モデル3は小型で、100kWhのパワフルなバッテリー(通常、テスラ・パフォーマンスのモデルで採用される)を搭載するスペースがないという。このため、モデル3については、パフォーマンス・モデルでも75kWhから微増した程度のバッテリーを搭載すると思われる。

一方で、ノーマルのモデル3でも走りは期待できそうだ。モデルSのパフォーマンスバージョンよりも400kg以上軽いため、よりクイックな走りを実現しているだろう。
 

生産能力がネック 充電有料化で収益拡大へ

モデル3の購入者は、テスラ・スーパーチャージャーと呼ばれている高速充電システムを無料で使用することはできない。同社は、需要の拡大に伴って充電設備を有料化する予定だが、充電システム・ネットワークの拡充にはまだまだ投資が必要だ。

しかし、アナリストの予想では、テスラが年50万台の生産を達成すれば(現在の月5000台レベルでは、実現はかなり困難だが)、米国でのBMWやメルセデス・ベンツ、レクサスの販売台数を超える。

テスラは昨年、新たに10億ドル(1454億円)の出資を受けて、セミローリーと新型ロードスターを発表した。マスクはこの資本のおかげで、モデル3の高い需要に対応することが可能だろうと述べた。

十分な資本を得たことで、テスラは生産での財政的なリスクを軽減することができた。ニューヨークの投資家によれば、新たな資本だけでなく、コンパクトSUVのモデルYといった将来のモデル展開計画も、同社の株価上昇につながっている。

一方で、需要に応えてテスラがさらなる増産を行うことができるのかと疑念を抱くアナリストもいる。最新のレポートでは今年後半には収益化すると言われているが、テスラは今のところ赤字続きだ。