ボランチだったキーン(左)とDFのエインセ(右)。ポジションも近く、守備に関して言い争うことも多かったのだろう。 (C) Getty Images

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 たとえ挑んできた相手がチームメイトだろうと歯向かったとあれば打ちのめす――。それこそが、「闘将」と呼ばれる所以なのかもしれない。そんな興味深い話を明かしたのは、元マンチェスター・ユナイテッドのガブリエル・エインセだ。
 
 2001年に加入したパリSGで頭角を現したエインセは、2004年の夏にマンチェスター・Uに移籍。2006-07シーズンにプレミアリーグを制するなど3シーズンに渡って活躍した。
 
 そんな元アルゼンチン代表DFは、マンチェスター・U加入当初に当時のキャプテンだったロイ・キーンとの闘争エピソードを明かしている。英紙『サン』が報じた。
 
 それはある試合で敗戦後のロッカールームで起きたという。負けた悔しさから「誰とも話したくなかった」というエインセの耳に、「クソッタレ」という言葉が聞こえたという。
 
「僕は英語を理解できていなかったけど、侮辱的な言葉だというのはすぐに分かった。それで誰かと思えば、ロイ・キーンが僕の名前と一緒にクソッタレと口にしていたんだ」
 
 自らが罵られていることに気づいたエインセは、「すぐに立ち上がって彼の下に向かった。キーンがマンチェスターのアイドルで、誰もが愛している偉人だと知っていたけど、『クソッタレはアンタだ!』と言い返したんだ」という。
 
 しかし、エインセは「実は、そのあとのことは全く記憶にないんだ…」とのこと。偉大なるキャプテンにその場でノックアウトされたことを明かしている。
 
 1993-94シーズンにマンチェスター・Uに加入したキーンは、1997年にエリック・カントナからキャプテンマークを託されると、闘争心を剝き出しにした激しいプレーでチームを牽引。その振る舞いから「闘将」と呼ばれ、マンチェスターの人々から愛された。
 
 そんなキャプテンに不満をぶつけたエインセ。話が事実であれば、かなり理不尽な感じもあるが、キーンのクラブ内での存在感を改めて知れるエピソードと言えるだろう。