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1980年代のアメリアkで夢を信じてオイルビジネスに全てをかけた男が、わずか30日間で全てを失っていく様を描いた社会派ドラマ『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』。派手さは無い映画ながら、コアな映画ファンからの支持が高く、10月1日の公開以来、連日多くの人が劇場を訪れている。

家業の問題を解決するため、自分が信じてきた非暴力的な方法に逆らって行動することを余儀なくされるラテン系アメリカ人の実業家を演じたのはオスカー・アイザック。

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(13)などの作品で賞に値する役柄を演じてきた彼は、公開が待たれる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『X-Men: Apocalypse』という超話題作への出演も決まっています。今回、ガジェット通信ではオスカー・アイザックのインタビューを入手。ぜひ最後までご覧ください。


―『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』というタイトルが、ある意味事実と異なる印象を与えるところが好きです。観客はある種の映画を予想しますが、実際はそういう映画ではないことに驚かされます。

オスカー・アイザック:脚本を読んだ時、これは、ありきたりの移民を描いた映画ではなく、特にラテン系アメリカ人の男を通した商売のくだりがとても面白いと思った。人が普段予想するものとは全然違う。アベルは、自分で努力して成功を収めるような男たちの神話に飛び込んでいく。彼は自分の過去を切り離し、どうしても必要な時以外はスペイン語で話さないことを選ぶ。従業員たちにも英語だけで話すように求める。それは彼が長いスパンで見た目標と成長に焦点を合わせているからだが、そういう人間の心情を、僕はとても面白いと思った。

彼は、非常に危険な時こそ正しい方法で物事をおこない、エスカレートしないように努める人間だ。妻も含めて周りの誰もが「暴力を通して強さを見せろ。それだけでいい。そういうものに人間は反応する」と言う。でも彼はそうすることを拒絶する。なぜなら、彼はギャングになりたくないからなんだ。

―でも決して『スカーフェイス』(83)のような印象は与えませんね。そうなるのは簡単だったでしょうが。

オスカー・アイザック:『スカーフェイス』のような映画を見ると、あれこそがラテン系アメリカ人の実業家だと思うかもしれない。それにこの映画のスタイルは、70年代の映画を思い起こさせるところがある。その多くが暴力団やギャングや犯罪を描いていた。この物語は、この人間の最も危険な年はどうかという非常にリアルな個人的状況を描いている。非暴力的な映画にしては、たくさんの悪い出来事が起こる。この映画で、J・C・チャンダー監督は多くの抑制した表現を使っていると思う。その抑制が、観客だけでなく映画の中のキャラクターたちの予想に役立っているんだ。彼らはいったいアベルにどうなることを望んでいるのか。アベルはどうなることを選ぶのか。

―ジュリアード学院でクラスメートだったジェシカ・チャステインとの共演とアナ・モラレスを演じる彼女はいかがでしたか?

オスカー・アイザック:素晴らしかったよ。ジェシカのことは昔から知っている。僕たちは一緒に学校に行き、何か一緒にやれるものを見つけようとしてきた。この映画に巡り合ったが、それはまさに僕が探し求めていたものだったんだ。僕たちは一緒に、脚本の1行1行について話し合い、演じる役の歴史を考えた。出身はどうか、どのくらい一緒にいるのか、そういうことを全部話し合った。観客にとっての二人は謎めいたままにしておきたかったが、俳優としての僕たちには役の歴史が必要だ。そのために二人の生い立ちを選び、知っておく必要がある。それを彼女と一緒に調べたり掘り下げたりするのはとても楽しかった。そういうことは自分一人でやることが多いから、ほかの人たちのやり方はわからないんだ。特に俳優は、人の真似をしたくない。でもジェシカとは、同じ訓練を受け、同じように作品にアプローチした。互いに何でも言い合うことができた。その全てがシーンを成長させる手助けになったんだ。

―J・C・チャンダー監督との仕事について、あなたとジェシカの湧き立つ演技は完璧でしたが、監督はどのようにあなたがたのプロセスに入ってきたのですか?

オスカー・アイザック:僕たちは自分にとって重要なものを書き出し、それを持って彼のオフィスに行った。そして彼がそれを全部説明してくれたんだ。彼には強烈な印象だったんじゃないかな。普段はあまりこういうことがないのだと思う。でも素晴らしかったよ。彼はとてもオープンでこの上なく寛大だった。

―1980年代のニューヨーク史を知らない人もいます。この時期についてどんなことがわかりましたか?

オスカー・アイザック:1980年代のニューヨークはとても荒れた大変な時期だった。とても危険で、経済的には破綻寸前だった。連邦政府はこの街での責任を放棄し、自分でやってくれと言った。ニューヨークは自分たちが進む道を選ばなくてはならない時期にあったんだ。そのままエスカレートするのか、別の道を行くのか。アベルはそれを代表している。彼は選ばねばならない。暴力に向かいそれをエスカレートさせるのか、あるいは長期的な展望をもって考えていくのか。20年先の展望とその考え方に忠実でいること。それがこの映画を通した彼のジレンマなんだ。

―ジェシカ・チャステインのキャラクターとの関係は強烈です。二人の間にはいろいろなものが渦巻いていますね。

オスカー・アイザック:そうだね。映画を通してみると、二人が本当に素晴らしいチームだとわかる。二人は激しく喧嘩するが、次の日には気持ちが変わっている。二人は誇りに邪魔されないタイプなんだ。でも同時に、映画の終わりまでに、それに伴う代償が見えてくる。それはいったいどうなるのか。一つ明らかなのは、彼女のせいで、彼は自分が思っていたよりも手を汚してしまうことだ。彼は彼女の能力を知っている。互いに尊敬し合っているが、ある意味不信感もあるように思う。

―これは三部作になるというのは本当ですか?

オスカー・アイザック:僕たちは長いスパンで物事を話し合ってみたんだ。J・C・チャンダー監督が言うには、奇妙なことに、統計的には、ニューヨークの歴史では10年ごとに危険な年が巡ってくるようだ。1981年は全体的に、1991年は近隣地域でのクラックブーム、2001年は明らかに9.11同時多発テロ事件だ。だから10年ごとに物語を取り上げることを想像してみた。彼らはどこにいて、どうなったのか。そういうことを考えるのは面白いし楽しい。

『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』
http://american-dreamer.gaga.ne.jp

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