高松商の長尾健司監督は、その瞬間を「空気が変わった」と評した。その言葉に深くうなずくしかなかった。浅野翔吾が放った打球は右中間方向に伸び、そのままフェンスを越えていった。8月11日の甲子園・高松商(香川)対佐久長聖(長野)戦は、ひとりの小柄な怪童のパフォーマンスによって異様な展開に突入していく。右中間に放り込んだ次の打席では、浅野は111キロのスライダーをレフトスタンドへ弾丸ライナーで運んでみ