マツダ新型アテンザがビッグチェンジで欧州ライバル車を凌駕する3つの魅力
マツダの掲げる「走る歓び」はロードスターのようなスポーツカーだけに当てはまりません。コンパクトカーのデミオからフラッグシップモデルであるアテンザまで、新世代モデルは共通の魂動デザインやSKYACTIV技術といった一貫性・継続性をもった開発を行い、マツダの考える独自の価値を体現させることで全てのモデルにおいて「走る歓び」を体感することができます。
マツダのフラッグシップモデルであるアテンザはマツダ6として世界中で発売されているグローバルモデル。メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズ、アウディA4といった強力なライバルたちとしのぎを削っています。
フルSKYACTIVE技術を搭載した3代目アテンザは2012年11月に登場しました。パワートレインはスカイアクティブGと呼ばれるガソリンエンジンが2Lと2.5L。そしてスカイアクティブDと呼ばれる2.2Lディーゼルターボの合計3種類を設定しています。ミッションはガソリン車が6ATのみ。ディーゼル車は6ATだけでなく、6MTも用意しています。フラッグシップセダンにおいてもMT車を設定するところはマツダらしいと言えます。
では、マツダらしさとは一体何でしょう。それは今回アテンザが行った大幅改良を見ると答えがあるように思われます。アテンザは発売されてから、毎年一部改良を行うことで、熟成させてきました。ちょうど、発売されて2年目というと、通常はエクステリアやインテリアの化粧直しを行うマイナーチェンジが行われるタイミングです。しかしアテンザはマイナーチェンジに留まらず、大幅改良を行いました。
その改良された範囲は一歩間違えばフルモデルチェンジに匹敵する内容の濃さです。まず、ディーゼル車にはアクティブトルクコントロール4WD方式を採用した4WD車を追加するとともに、その4WD車にMT車が設定されています。
エクステリアではフロントフェイス、フロントヘッドランプの変更、ニューカラーのアルミホイールとボディカラーの新色追加。インテリアはインパネとセンターコンソールの造形の変更、白の本革内装のカラー変更、電動パーキングブレーキの全車標準化。7インチディスプレイの採用、マツダ車初の後席シートヒーターの採用まで及びます。
さらに、前後ダンパー、フロントロアアームのブッシュ最適化によってフラットで質感の高い乗り心地と静粛性の向上。そしてガソリン車には走行モードを切り替えられてドライバーの意のままに操れる「ドライブセレクション」の採用といったようにココまでやるの!と驚いてしまうほどです。
そして現在最も注目度の高い、安全装備もアップデートされています。鋭さの増したフロントヘッドライトは日本の自動車メーカーとして初のLEDアレイ式グレアフリー(防眩)ハイビームを備えた「アダプティブ・LEDヘッドライト(ALH)」を搭載しました。
現在多くの車種で搭載されているアダプティブヘッドライトはヘッドライトの光をシャッターで制御する方式ですが、アレイ方式は左右方向にLEDブロックを連続配置し、それぞれのLEDブロックを点消灯制御するシステムです。したがって配光パターンを切り替えるためのアクチェーター類が不要であり、各ブロックごとの光量を任意に制御でき、最適な配光パターンの追及が可能なのです。
アテンザは今回の大幅改良によってフラッグシップモデルとしてさらに磨きをかけて、ライバル車を超えようとしています。それでは、アテンザとライバルといえる、メルセデスベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4を比較してみましょう。
アテンザの最上級モデルXD LPackge 2WDは衝突回避ブレーキをはじめ、先進の安全装備が標準装備で車両本体価格374万2200円 です。昨年登場したメルセデス・ベンツCクラスはエントリーモデルのC180が419万円と、アテンザとの価格差が最も小さいです。搭載されるエンジンは1.6Lターボと排気量は小さいですが新開発のシャシーはアルミニウムなどで軽量化され、高い運動性能を実現しています。一方の安全装備はレーダークルーズコントロールやレーンキープサポートがオプションなので、装着すると価格差はかなり広がってしまいます。
BMW320iは「駆け抜ける歓び」を具現化した優れたハンドリング性能が魅力です。搭載される2L直4ターボは今回の4車種の中で最も最高出力は高く、安全装備もアテンザと同様に標準装備されていますが、価格は100万円高です。BMW特有の走りの良さは魅力ですが、アテンザの走行性能も引けを取りません。
最後はアウディA4 2.0TFSIです。販売開始したのが、2008年3月とこの4車種の中で最も古いということもあり、安全装備の充実度は低めです。しかし最大トルクはアテンザに次ぎ大きいので、滑らかな加速感が味わえますし、高額なクワトロと呼ばれる4WDモデルは高い走行性能を発揮します。
アテンザは上記の3車種より、ボディサイズは大きく、さらにディーゼルエンジンによる太いトルクによってスムーズな加速が味わえるとともに、低燃費を実現しています。また、セダンだけでなく、広くて使いやすいラゲージスペースをもつステーションワゴンもラインナップしています。セダン、ステーションワゴンともに欧州車に負けないハンドリング性能と安全性能を実現しているアテンザは輸入車ユーザーも注目の1台です。
(文・萩原文博/写真· 前田圭介)
マツダ新型アテンザがビッグチェンジで欧州ライバル車を凌駕する3つの魅力(http://clicccar.com/2015/03/27/298733/)