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 各球団がキャンプ入りし、待ちに待った球春が到来した。メジャー帰りの松坂大輔や黒田博樹など、2015年シーズンも見どころ満載なのは間違いない。しかし、そうした派手な見どころの影に隠れ、2015年シーズンは“珍記録”が数多く達成されそうなシーズンでもある。そこで、注目の珍記録をここに紹介する。

出場すれば記録達成の山本昌

 まず、和田、谷繁等、大記録を目前にしたベテランを多数要する中日ドラゴンズからは、球界最年長選手山本昌の最年長記録の更新に注目が集まる。以下の記録がすでに記録している最年長記録だ。今シーズン、1軍出場すれば全てに記録更新のチャンスが来ることとなる。

最年長出場(49歳)/最年長打席(49歳)/最年長登板(49歳)/最年長先発(49歳)/最年長勝利(49歳)/最年長完投(45歳)/最年長完封(45歳)/最年長奪三振(49歳)/最年長ホールドポイント(47歳1ヶ月)

 また、リリーフで投板すれば以下の記録を破るチャンスもある。

最年長ホールド工藤公康(46歳4ヶ月)/最年長セ ーブ斎藤隆(44歳4ヶ月)

 とにかく、出れば記録づくめの山本昌。今シーズン出場すれば、ジェイミー・モイヤーの持つ、49歳5ヶ月の世界記録も塗りかえる。8月には50歳を迎え、前人未到の50代プレーヤーの誕生に期待せずにはいられない。

通算打率.242の選手が打撃で金字塔を打ち立てる!?

 最年長記録に続くのが、今季出場すれば、実勤29年で日本記録に並ぶ、日本ハムファイターズ中嶋聡だ。

 中島は、1987年に阪急ブレーブス(現オリックスバッファローズ)に入団。1年目から1軍出場を果たし、現在野手では最長の実勤28年。コーチ兼任のため出場機会はほとんどないが、昨シーズンは1試合出場している。最後の阪急戦士の偉業はあるのか注目したい。

 ホームランは野球の華。その逆を突き進み、目立っている選手もいる。千葉ロッテマリーンズの岡田幸文だ。岡田は、2010年のデビューから昨シーズン終了までの1882打席で、無本塁打という記録を持っている。今シーズン118打席に立ち無本塁打ならば、節目の2000打席無本塁打記録の達成だ。ちなみに、連続無本塁打の日本記録は赤星憲広の持つ2528打席。今シーズン中の記録更新は厳しいが、近い将来の新記録の可能性は高いだろう。

 ホームランに並ぶ野球の華、サヨナラ打。球場全体が盛り上がるサヨナラ試合は、年に数試合しかない。その数試合しかないサヨナラ打を6年連続で放ち、今年日本記録の7年連続サヨナラ打に挑むのは、広島カープの石原慶幸だ。現在の6年連続は元西武ライオンズ他のアレックス・カブレラと並び日本タイ記録。今季は正捕手争いが激化し、出場機会の減少が予想されるなかでの新記録達成はハードルが高い。しかし、通算打率.242の捕手が打撃で日本記録を打ち立てる様はなんとも爽快だ。大いに期待したい。

 次は不名誉な記録ながら個性が際立つこの記録、暴投だ。ヤクルトスワローズの新垣渚は、昨シーズン1試合4暴投を記録し、史上初の両リーグで1試合4暴投の偉業(?)を達成。現在現役最多の88で、記念すべき100暴投まであと12と迫っている。荒れ球は新垣の特徴で、ホークスのエース格だった当時も暴投は新垣の代名詞でもあった。歴代1位の村田兆治の148には及ばないが、村田の3331投球回数で148暴投に対し、新垣は964投球回数で88暴投。ペースで言えば歴代でも群を抜いている。完全復活し、ローテーション入りすれば記録更新も夢ではない?

チーム記録にも珍記録の予感

 続いては、個人ではなくチームの記録を紹介したい。

 2013年、2014年シーズンのセ・リーグは、1位ジャイアンツ2位タイガース3位カープ4位ドラゴンズ5位ベイスターズ6位スワローズという全く同じ順位であった。これは、プロ野球史上27年ぶりで4度目の珍事。今シーズンも同一順位となると史上初の珍事となる。

 パ・リーグでは、オリックスバッファローズが、悔しい記録に直面している。2013年、2014年と、開幕戦を2年連続でサヨナラ負けしているのだ。これは、2リーグ制以降史上初の出来事で、ファンとしては悔しい思いを2年続けて見せられてしまっている。奇しくも、今シーズンの開幕もビジターで迎えるオリックス。3年連続のサヨナラ負けだけは避けたいところだろう。

 そして、今シーズン注目チームのひとつでもある、ヤクルトスワローズ。昨シーズンは最下位ながら、爆発的な打撃で他球団からの驚異となった。そんなスワローズが残した記録が、球団新記録の8試合連続2桁安打と、日本タイ記録の8試合連続7点以上という、とてつもない記録を打ち立てている。史上希に見ぬ強打を誇るスワローズ、今年も打線爆発なるか、注目したい。

 ここに紹介した記録以外にも、プロ野球には珍しい記録がたくさんある。

 昨シーズンの幕切れが、史上初の守備妨害日本一だったように、瞬間で誕生する珍記録もある。いずれにせよ、今シーズンも目が離せないのは間違いないだろう。

(取材・文/井上智博)