暗闇でキラキラ光る1.2m四方の謎の立方体「Cube」をMicrosoftが開発しました。Kinectを使って周囲の人の動きを読み取り、立方体に映像を投影させるというCubeは一見よくあるタイプのインタラクティブ・アートにも見えますが、Microsoftスタッフによると「これまで人が予想していなかった方法でコミュニケーションを行うことも可能になる」装置だとのこと。何がそんなにすごいのか、その詳細が分かるムービーが公開されています。

Microsoft’s Cube debuts at Decibel, creating a one-of-a-kind digital dance party - Next at Microsoft

http://blogs.microsoft.com/next/2014/09/24/microsoft-cube-decibel-dance-music/

Microsoftが開発した謎の立方体「Cube」が何なのかは以下のムービーを見るとわかります。

Kinect-Powered Cube Unveiled at Decibel Festival - YouTube

暗闇の中に浮かぶ淡い色の立方体。



正面から見るとこんな感じ。



スクリーンでは多面体がキラキラと輝いています。



CubeはDecibel Festivalというエレクトロとビジュアルアートの祭典で公開された観客が参加できるタイプのアートの1種となっています。「中身がどうなっているか、お見せしましょう」と、吸盤を使ってスクリーンを外すMicrosoftのマーケティングマネージャーのNicole Aguirreさん。



さらに土台を解体していきます。



中はこんな感じ。



Cubeで使われるCPUは全部で5台。



プロジェクターも5台設置されているとのこと。



Kinectは4台。



Cubeは音楽を流しながら周囲の動きを追跡する装置で、人が装置の前に立つとKinectがその動きを読み取ります。1つの面でKinectは3人の動きまで追跡できるとのこと。



キューブを挟んで踊りあう2人。



Cubeを挟んで向こう側にいる人が踊っている様子を直接見ることはできませんが、Kinectが動きを読み取ってCube上に再現してくれるので、「別の場所にいる人を同じ場所に存在させる」ということが可能になるというわけです。



スクリーンに投影される映像にはさまざまなバリエーションがあります。





Microsoftのブランド戦略においてシニアディレクターを務めるMichael MegalliさんはCubeが「クリエイティブな表現ができる新しいキャンバス」であると語っています。



Cubeは「絵に描いた餅」のようなアイデアから生まれ、Microsoft内のさまざまなセンターに所属する人々の手によって何カ月もかけて形にされたもの。当初はLCDディスプレイを用いる予定でしたが、Cubeほど大きなスケールでLCDディスプレイを使うと装置がもろくなり、それに加えてコストがかかりすぎるという問題がありました。また見た目の美しさを追求して「角に継ぎ目のない、完璧な立方体」を作ることにも課題があったとのこと。



数々の課題を乗り越え、チームは映像投影用の素材とアクリル樹脂でシームレスな立方体をデザインし、映像のひずみも少ないプロトタイプを作成。



4つのKinectを1つのシステムに統合するのも大きな課題でした。Kinectは部屋のいろんな場所にいる人の動きを追跡するわけですが、例え人が場所を変えたとしてもCube上に投影される映像はその人にとって意味をなすものでなければならず、これが非常に難しかったとのこと。テクニカルディレクターのJosh Santangelo氏は「4つのKinectとソフトウェアの統合は、Microsoftしか行えなかっただろう」と語りました。



チームはさらに大きなCubeを作成する予定。Cubeの技術を使えば「これまで人が予想していなかった方法でコミュニケーションを行う」ことも可能であり、新しいコミュニケーションツールとして、今後さらなる可能性が追求されていくとのことです。