他人の論文をネットで共有したことにより大学生が禁固8年+罰金の危機
By Patrick
コロンビアのキンディオ大学生物学部に通う学生であるディエゴ・ゴメス・オヨスさんが、ある科学者の両生動物分類学に関する論文をネット上へアップロードしたことから、著作権を侵害したとして論文の著者に訴えられました。有罪判決が下るとゴメスさんは8年の投獄と罰金を課される危機に面しているわけですが、一体なぜゴメスさんは論文をインターネットへ投稿したのでしょうか。
Student may be jailed for posting scientist’s thesis on web : Nature News Blog
ゴメスさんは大学でカウカ毒蛙の個体群生態学に関する研究を行っており、2011年にフィールドワークを実施。その際に学生仲間の手を借りることになり、個体識別に必要だと判断したため、文書共有サービスのScribdに別の科学者の両生動物分類学に関する論文をアップロードしました。
By myheimu
それから2年が経った2013年、ゴメスさんは著作権侵害にあたるとして当該論文を書いた科学者に訴えられたことを知らされました。この事件に対して、コロンビアの人権団体であるKarisma財団が「共有は犯罪ではない」と銘打った擁護キャンペーンを実施しています。Public Library Of Science(PLOS)の一員で、アメリカン大学の知的所有権プログラムの監督者であるマイケル・キャロル氏は「世界中で極端なクレームを付ける著者が存在しますが、大半の国でその要求は通りません。コロンビアではこの種の裁判数が不足しているため、どのような判決が出るのか非常に心配です」と話しています。
コロンビアの著作権法は2006年に改正され、一部の著作権違法に対して刑事罰が取り決められています。Karisma財団の弁護士カロライナ・ボテロ氏は、今回のような利益目的ではない著作権物のコピーに刑事裁判が行われるべきではない、との見解を主張しています。ゴメスさんは告訴通知を受けてすぐにScribdから論文を削除していますが、2014年9月に開廷予定の審問で有罪と確定すれば、罰金に加えて4〜8年を刑務所で過ごすことになります。
By Greg Siebrand
すでにゴメスさんはキンディオ大学を卒業し、コスタリカ国立大学で野生生物自然保護区に関する修士号の取得に向けて研究を行っています。ゴメスさんは「圧力をかけたくない」という理由から自分を訴えた科学者の氏名を伏せていますが、「人は情熱のために生物学に取り組んでいる。利益のためじゃない」と話しています。