インド人大富豪の間で使われる“ジュガール”とは一体?
世界で活躍している人も多いインド人。そんな彼らが大事にしているものがあるという。それが「ジュガール」である。
日本でコンサルタントして活躍するインド人のサチン・チョードリー氏は、著書『インド人大富豪 成功の錬金術』(サンマーク出版/刊)の中で、インド人大富豪たちの共通点は、その「ジュガール」にあると述べている。
今回はチョードリー氏にインタビューを行い、インドの経済成長を支える一つである「ジュガール」についてお話を聞いた。今回はその前編をお伝えする。
(新刊JP編集部)
■インド人の間で使われる“ジュガール”とは一体何?
―まず、本書『インド人大富豪 成功の錬金術』を執筆した経緯から教えてください。
サチン・チョードリーさん(以下敬称略)「まず私が日本にきて感じていたことがあります。気を遣ったり、遠慮したりする日本の文化は素晴らしいけれど、ビジネスとなったときにそれが足かせになってしまっているという点です。
インドでは『ジュガール』というものがあります。この『ジュガール』という発想を使えば、日本は鬼に金棒です。世界でさらに飛躍できるでしょう。その『ジュガール』を友人の本田健さんにお話したところ、彼から絶対に広めるべきだと勧められました。そして以前にも本を書いたことがあったのですが、まだまだ『ジュガール』を伝えきれていないと感じ、より分かりやすく伝えるために、この本を書いたのです」
―『ジュガール』とは一体どのようなものですか?
チョードリー「例えば、オリンピック招致のための活動がありましたよね。あのとき、日本は『ジュガール』を使っていました。それは、コンサルタントで招致請負人ともいわれるニック・バレー氏を起用したことです。そして、彼に何が必要なのか、何が求められているかを教わり、成功したのです。また、プレゼンでジェスチャーを大げさにしていましたが、あれも『ジュガール』といえますし、フランス語を使ったのもそうです」
―本書によれば『ジュガール』とはヒンドゥー語なのだそうですが、具体的に言うとどういうものなのでしょうか。
チョードリー「『ジュガール』は発想法、ソリューションを考えることを意味します。高速道路を使って目的地まで行こうとしたけれど、高速が通行止めになっている。そのとき、諦めるのではなくて下道を使って行こうというのも『ジュガール』の一つです。プレゼンが下手でも、相手のことを調べていたところ出身地が一緒だった、それを生かそう。これも『ジュガール』の発想ですね。それで仕事をゲットするんです。
日産の自動車や、アップル社のiPadやiTunesも『ジュガール』の発想ですね。スマートなソリューションです」
―なるほど。インドではどのように言葉として使われているのですか?
チョードリー「インドでは、何か困ったことがあったときに『ジュガール使おうぜ』みたいな形で使います。何もないところからなんとかする。応急処置ともいえます。スマートソリューションなんですよ。
孫正義さんは、ソフトバンクの会員数をドコモより上回るために、いちはやくアップルと交渉してiPhoneをリリースしました。これも『ジュガール』です。いわゆるソリューションなんです」
―この『ジュガール』という発想法を、インドの方々はみな持っていらっしゃるのでしょうか。
チョードリー「持っていますね。インドは日本よりもインフラの整備が遅れているので、『ジュガール』が日常的に使われています。
インドの経済が強くなっているのは、100人の社員で10億円の利益を出そうとするよりも、10人で10億の利益を出そうとするからです。後者はまさしく『ジュガール』の発想といえますね。少ない社員でも大きな利益を出している会社は、往々にして『ジュガール』を使っています」
―なるほど。『ジュガール』は日本の企業でも実践できると思いますか?
チョードリー「もちろんです。『ジュガール』はスマートで、スピーディーで、戦略的な発想ですが、どんな組織でも、そして個人でもできます。普通の社員でも『ジュガール』で実績を出すことができます。また、人間関係や恋愛においても、良い関係を構築しようと思ったら、相手の気持ちや願望を理解した上で、ジュガール的な発想を身につけることをすすめます」
(次回へ続く)
日本でコンサルタントして活躍するインド人のサチン・チョードリー氏は、著書『インド人大富豪 成功の錬金術』(サンマーク出版/刊)の中で、インド人大富豪たちの共通点は、その「ジュガール」にあると述べている。
今回はチョードリー氏にインタビューを行い、インドの経済成長を支える一つである「ジュガール」についてお話を聞いた。今回はその前編をお伝えする。
(新刊JP編集部)
―まず、本書『インド人大富豪 成功の錬金術』を執筆した経緯から教えてください。
サチン・チョードリーさん(以下敬称略)「まず私が日本にきて感じていたことがあります。気を遣ったり、遠慮したりする日本の文化は素晴らしいけれど、ビジネスとなったときにそれが足かせになってしまっているという点です。
インドでは『ジュガール』というものがあります。この『ジュガール』という発想を使えば、日本は鬼に金棒です。世界でさらに飛躍できるでしょう。その『ジュガール』を友人の本田健さんにお話したところ、彼から絶対に広めるべきだと勧められました。そして以前にも本を書いたことがあったのですが、まだまだ『ジュガール』を伝えきれていないと感じ、より分かりやすく伝えるために、この本を書いたのです」
―『ジュガール』とは一体どのようなものですか?
チョードリー「例えば、オリンピック招致のための活動がありましたよね。あのとき、日本は『ジュガール』を使っていました。それは、コンサルタントで招致請負人ともいわれるニック・バレー氏を起用したことです。そして、彼に何が必要なのか、何が求められているかを教わり、成功したのです。また、プレゼンでジェスチャーを大げさにしていましたが、あれも『ジュガール』といえますし、フランス語を使ったのもそうです」
―本書によれば『ジュガール』とはヒンドゥー語なのだそうですが、具体的に言うとどういうものなのでしょうか。
チョードリー「『ジュガール』は発想法、ソリューションを考えることを意味します。高速道路を使って目的地まで行こうとしたけれど、高速が通行止めになっている。そのとき、諦めるのではなくて下道を使って行こうというのも『ジュガール』の一つです。プレゼンが下手でも、相手のことを調べていたところ出身地が一緒だった、それを生かそう。これも『ジュガール』の発想ですね。それで仕事をゲットするんです。
日産の自動車や、アップル社のiPadやiTunesも『ジュガール』の発想ですね。スマートなソリューションです」
―なるほど。インドではどのように言葉として使われているのですか?
チョードリー「インドでは、何か困ったことがあったときに『ジュガール使おうぜ』みたいな形で使います。何もないところからなんとかする。応急処置ともいえます。スマートソリューションなんですよ。
孫正義さんは、ソフトバンクの会員数をドコモより上回るために、いちはやくアップルと交渉してiPhoneをリリースしました。これも『ジュガール』です。いわゆるソリューションなんです」
―この『ジュガール』という発想法を、インドの方々はみな持っていらっしゃるのでしょうか。
チョードリー「持っていますね。インドは日本よりもインフラの整備が遅れているので、『ジュガール』が日常的に使われています。
インドの経済が強くなっているのは、100人の社員で10億円の利益を出そうとするよりも、10人で10億の利益を出そうとするからです。後者はまさしく『ジュガール』の発想といえますね。少ない社員でも大きな利益を出している会社は、往々にして『ジュガール』を使っています」
―なるほど。『ジュガール』は日本の企業でも実践できると思いますか?
チョードリー「もちろんです。『ジュガール』はスマートで、スピーディーで、戦略的な発想ですが、どんな組織でも、そして個人でもできます。普通の社員でも『ジュガール』で実績を出すことができます。また、人間関係や恋愛においても、良い関係を構築しようと思ったら、相手の気持ちや願望を理解した上で、ジュガール的な発想を身につけることをすすめます」
(次回へ続く)