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レーザーを用いて目の角膜を矯正し、視力の回復をはかるレーシック手術。「メガネやコンタクトレンズなしで日常生活を送りたい」と、手術を受ける人が増えているが、トラブルも起きている。

消費者庁には、今年11月までの5年間に、レーシック手術でのトラブルが80件報告されているという。同庁は、トラブルは過矯正で遠視になったという症状が最も多く、頭痛や吐き気で日常生活に支障をきたしているケースもあるとして、手術前にリスク説明を十分に受けるよう注意を呼びかけた。

もしリスクについての説明が不十分なまま、レーシック手術をうけて、その後、日常生活に支障を出るようになったら、病院に対して損害賠償を求めることができるのだろうか。また、レーシック手術で後悔しないために、注意すべきことはあるのだろうか。医療問題弁護団の幹事をつとめる梶浦明裕弁護士に聞いた。

●医師には「合併症のリスクを説明する義務」がある

レーシック手術は、近視を治し視力を向上させる方法として確立されており、多くの場合は生活の質を改善してくれるでしょう。

しかし、レーシック手術は眼の角膜を削る手術であるため、ドライアイ(眼が乾く)、ハロー・グレア(夜間に光がにじむ・まぶしい)、リグレッション(近視状態に戻る)、過矯正(術後遠視)などが、合併症として生じる可能性があります。」

こうした症状については、どう考えればいいのだろうか? 梶浦弁護士によると、こうした「合併症」については、「手術ミス」とは区別して考える必要があるようだ。

「合併症は手術ミスと違い、一定の確率で発症し、避けることのできないものです。そのため、レーシックのガイドライン(日本眼科学会)でも、事前に合併症について患者に説明し、同意を得るべきとされています。

もし、病院の説明が不十分であった場合は、説明義務違反として病院に損害賠償を求めることができます。患者側が病院の説明義務違反を立証する必要がありますが、こうした損害賠償請求を認めた裁判例も存在します」

つまるところ、「合併症」が生じてしまったからといって、ただちに損害賠償が認められるわけではない、ということだ。

梶浦弁護士はこうした前提を踏まえて、次のようにアドバイスを送っていた。

レーシック手術で後悔しないためには、レーシック手術で起こり得る合併症について、病院から十分に説明を受けることが重要です。そのうえで、ご自身の職業なども踏まえ、合併症が起きる可能性を前提にしても裸眼の近視を改善する必要があるのか、術前によく検討することが大切でしょう。お仕事で夜間の運転をされている方などはハロー・グレアの関係で避けるべきです」

なお、梶浦弁護士を含め、医療問題に取り組む約250人の弁護士でつくる「医療問題弁護団」は12月21日(土)の9時15分〜17時に、レーシックのトラブルについて無料電話相談を実施するという。電話番号は03−6869−8391。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
梶浦 明裕(かじうら・あきひろ)弁護士
平成15年弁護士登録。レーシックホットライン(医療問題弁護団主催)責任者、銀座眼科(レーシック集団感染事件)被害対策弁護団事務局長を務めるなどレーシック問題のほか、医療過誤事件を多数扱う。
事務所名:東京グリーン法律事務所
事務所URL:http://www.greenlaw.ne.jp