台湾の古参SNS「無名小站」が年末にサービス終了へ

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(台北 1日 中央社)台湾発祥で最古参のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)として知られる「無名小站」は30日、今年12月26日でサービスを終了すると発表した。背景にはFacebookをはじめとする競合サービスの台頭があると見られ、一時代を築いたSNSが歴史に幕を閉じる。

「無名小站」はもともと交通大学(新竹市)の学生が学内のシステムを利用して構築したインターネット掲示板。2003年になりアルバムやブログ、掲示板などのサービス提供を開始したところ瞬く間に人気に火がつき、2004年には当時台湾最大手だった「ヤフー台湾(雅虎奇摩)」のアクセス数にも匹敵するまでに成長した。

2007年にはヤフー台湾に7億元(約23億円)で買収されるが、直前には台湾最大の検索サイトとSNSの合併に市場独占の可能性が指摘され議論に発展した。「無名小站」はその後も順調に会員数を伸ばし、2009年には会員数650万人を突破、2008年から2010年まではIT系メディア「数位時代」が実施した「台湾100大ウェブサイトランキング」で3年連続1位を獲得した。

また「無名小站」を通じて有名になった人も多く、イラストレーターのワンワン(弯弯)や「あの頃、君を追いかけた」で知られる作家のギデンズ・コー(九把刀)、芸能界に転身したリン・イーシン(林逸欣)などがいる。ところが2009年頃からfacebookやtwitterなど新しいSNSに会員が流出し利用者が以前と比べて減少したほか、今年4月には企業向け新規広告募集を停止したことから今後の動向に注目が集まっていた。

運営元のヤフー台湾は今後段階的にサービスを縮小する計画で、この2日から10月29日まではバックアップファイルのダウンロードサービスを提供し、写真などは共有サイトFrickrや中華電信が運営するXuiteなどへの「引越し」を呼びかける。その後10月30日から12月25日までの期間は閲覧のみ可能となり、12月26日にウェブ上での全てのサービスが終了する。一方で有料会員への返金作業は来年3月3日まで行うとしている。

【 写真 】 「無名小站」創始者の簡志宇

(編集:齊藤啓介)