城福浩(じょうふく ひろし) ヴァンフォーレ甲府監督 1961年徳島県生まれ。1999年、JFAのナショナルトレセンコーチに就任。2006年、U-16日本代表監督としてU-17アジア選手権で優勝し、2007年のU-17ワールドカップに出場。2008年から2010年までFC東京の監督に就任。2009年ヤマザキナビスコカップ優勝。2012年からヴァンフォーレ甲府の監督に就任。

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 Jリーグの試合は、週末に行われることが多い。その週末に行われた試合が終われば、次の週末の試合に向けて1週間準備を行う。その1週間のなかで、プロのサッカー監督はどのような過ごし方をしているのか。現役プロサッカー監督をしている城福浩監督(現・ヴァンフォーレ甲府)に聞いた。

■現役Jクラブ監督の1週間の過ごし方とは?

 例えばJリーグの試合が土曜日に行われたとする。その場合、試合の翌日には何をするのか。現・ヴァンフォーレ甲府の城福浩監督いわく「公式戦の翌日に、私がもっとも優先的に考えるのは、試合に出場しなかった選手たちのこと」だそうだ。そのために試合に出場しなかった選手たちだけで練習試合を組むという。試合勘が鈍ることを避ける目的があり、選手にとっては日頃の練習の成果を出す場にもなる。
  翌日の月曜日は、オフのことが多いが、城福監督は休日でも前日に持ち帰ったDVDを自宅で観るという。そして火曜日、水曜日になると、練習後のインタビュー取材を受ける機会も多いとのこと。選手も監督も、試合が近づくと囲み取材以外はなるべく受けないようにしていたので、インタビュー取材はどうしても火曜日や水曜日に集中する。
  次の試合に向けた練習は火曜日からスタートするのだが、ミーティングのとき、前の試合の成果と課題をまとめた映像を選手たちに見せるという。
  「自分たちのチームが365日右肩上がりに成長するためには、前の試合で何が良く、何が悪かったのかを確認してからその週の練習に臨むのが最も効果的」と城福監督は話す。 成果と課題を見つめる週前半が終わり、次戦の対策を取り入れるのは試合の2日前。土曜日に試合があるとすれば、木曜日にあたるこの日は、トレーニングのなかでも選手たちに対戦相手をもっとも意識させる日である。

監督にとって仕事の少ない曜日となるのが、試合前日の金曜日。午前中に練習を行い、午後には移動、対戦相手の試合をDVDで自分自身の確認のために観るという。

 これは城福監督がFC東京で監督を行っていたときの1週間。ヴァンフォーレ甲府では、専用練習場やクラブハウスがなく、スタッフとの打ち合わせやビデオ編集などは違う場所で行うのだという。仕事ごとに担当者がいるわけではなく、現場スタッフがいくつもの仕事を抱えた主務や副務の仕事を手伝っているそうだ。

 1週間のうちまだまだ監督が行うべきことはあるのだが、監督が四六時中、チームのこと、選手のことを考えていることがわかるだろう。

城福監督の1週間の過ごし方(表)はコチラ

 このような監督の立場で見るサッカー現場のリアルと、チームを躍動させる“ロジカルな思考法”を現役のJクラブ監督が、6月4日(月)発売の『Jリーグサッカー監督プロフェッショナルの思考法』(カンゼン)で披露している。

 書籍の冒頭で城福監督が監督業について、以下のように述べている。

「監督というのは、孤独な職業です。
監督は現場におけるすべての決定権を握っています。だからこそ、そこで起きるすべてのことに対して、監督は責任を負わなければなりません。(略)
  選手をメンバーから外せば、選手生命を脅かすことにもなり得ます。結果が伴わず、チームが低迷すれば、コーチングスタッフやクラブスタッフの生活さえ脅かしてしまうかもしれません。
 しかし、だからこそ、成功したときの喜びは格別です。あの爆発的な喜びを一度でも味わってしまうと、監督という職業が病みつきになってしまいます。」

 監督業としての責任と重圧、そして、魅力が伝わる言葉だ。

 城福監督が指揮をとるヴァンフォーレ甲府は現在、J2ランキング5位(5月30日現時点)。シーズン真っ只中、直接試合会場に行って、城福監督の言う「成功したときの喜び」を一緒に味わってみるのはいかがだろうか。

試合日程などはコチラ(ヴァンフォーレ甲府公式サイト)

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