さて、痛車に使われるゲームは『水月』『AIR』『SHUFFLE!』といった、泣けたり萌えたりできる18禁エロゲーが人気です。ちなみに元ネタはエロゲーですが、痛車に描かれる場合、エロ要素はパンチラ程度がMAXで、裸は一切ありません。ちゃんと可愛い服を着ていて、水着ですら珍しい部類となっています。純粋にキャラに萌えられるゲームにとって「18禁エロ」という謳い文句は、弱小メーカーがソフトを世に出すための飾りにすぎないのです(ここ重要)。偉い人にはそれがわからんのですよ!

ここで、具体的な車体のカスタム方法にも触れてみましょう。
王道は、切り絵の要領でカッティングシートからくり抜いて貼るのと、カラープリントで画像出力したステッカーを貼るという2つの方法です。中にはエアブラシで塗装したり、キャラ絵をマグネットで貼り付ける手法を取るオーナーもいます。塗装はプリント出力のステッカーには出せない質感が魅力で、あこがれる痛車オーナーも多いようです。

内装にもいろいろな工夫が見られます。助手席に萌えキャラが印刷された抱き枕用シーツを被せたり(デート気分を満喫?)、液晶モニタをリアに装着してアニメを流したり(車内で引きこもれる)、ぬいぐるみなどの各種グッズを車内に置きまくったり(キャラに囲まれるハーレムな幸せ)、コスプレ衣装を飾ったり(ほぼ観賞用)と、こちらも随所にこだわりを感じさせてくれます。

最近は痛車の認知度も上がってきたので、ネットや雑誌で痛車の画像を見ることも珍しくはなくなってきました。ですが、やはり痛車は"直接出会う"ことにサイコーの醍醐味があると思います。私が初めて痛車に出会ったのは、確か秋葉原の「LAOX ザ・コンピューター館」前でしたが、取材で終電に遅れた深夜にも関わらず、もの凄い勢いで写メったのを今でもはっきり覚えています(2年くらい前)。リアルで見る痛車は一味違うのです。愛車を痛くしたいと考えている人は、とにかく一度痛車と出会うことをオススメしておきます。

まだまだ始まったばかりに見える痛車ですが、昔からこうした趣味を持った人はいたようで、いくつか伝説や逸話も残っています。
私が知っているのは、1980年代、当時アニメファンの間で大流行した『魔法のプリンセスミンキーモモ』の主人公・モモの絵を描いたピンク色のスポーツカーが、走り屋が集まる関東方面の峠に出没していたという話です。オーナーのドライブテクニックもかなり高く、異常に目立つクルマの外観も手伝って、走り屋の中では語りぐさになったんだとか。

都市伝説的なエピソードですが、当時のアニメファンの熱狂ぶりを考えると、あってもおかしくない妙なリアリティがあります。本当ならば、今とは比較にならない衝撃があったことでしょう。痛車の未来は混沌としていて見えない部分が多いのですが、今後は80年代の"峠のモモカー"のような伝説として語り継がれるマシンの出現に期待したいところです。ただし、今どき暴走する痛車というのは別の意味で痛くて危険なので、安全運転厳守でお願いしますね。カオスな21世紀、お気に入りのキャラと駆ける「痛車オーナー」に幸あれ。

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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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