【カオス通信】ニューズウィークは萌えているか?
2007年03月23日15時00分 / 提供:ITライフハック
リアルではなかなかお目にかかれない、金髪メイドさんのカメラ目線がまぶしい。 写真一覧(2件)
目次には「涼宮ハルヒ」の画像が貼られたプラカードを持ってデモに参加する、あのパレスチナの少女の写真(※2)を掲載。その写真の横に「萌える世界」のタイトル文字が踊っています。他の記事が「慰安婦決議、ある議員の戦い」「バルカン半島は再点火5秒前」「次に来る中国ショック」とそれっぽいものが並んでいるだけに、とても違和感を覚えてしまいます。ネタが異質すぎるので当然といえば当然かも知れませんが。
(※1)三才ブックス:マニアックな本が多いことで知られる一部アキバ系御用達の出版社。『もえたん』『また「あるある」にダマされた。』『放送禁止映像大全』などの書籍、『ラジオライフ』『ゲームラボ』などの雑誌を発行している。
(※2)あのパレスチナの少女の写真:去年の12月、パレスチナで子供が犠牲になった車輌銃撃事件への抗議デモ中に撮られた写真のこと。デモに参加した少女が持っていたプラカードに、何故かTVアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒの画像が貼られていたことで話題となった。ちなみに画像下に書かれたメッセージは「子どもを殺さないで」という非常にシリアスなもの。そのあまりのカオスっぷりに、一時「コラなのでは?」との憶測も飛んだが、どうやらコラではなかった模様。まだ見たことのない人は「ハルヒ」「パレスチナ」でググってみましょう。
さて、肝心の特集記事はというと、全8ページの構成。大見出しは「ニッポン発萌えパワーに世界も(^O^)」とあります(顔文字が素敵です)。海外のファン事情というところがニューズウィークっぽい感じですね。日本のアニメ・マンガに夢中になっている、パリ、ベルリン、台北、北京、シンガポール、バンコク、ニューヨークなどに住む人々の声が掲載されています。
例えば、パリでマンガ喫茶を開いた店長が、"パリの若者が東京を訪れる=まるでメッカの巡礼"という持論を展開したり、北京の会社員が「日本のマンガとアニメは命の一部」と語ったり、台北のメイド喫茶に「宅道(※3)」という書が飾られていたりと、日本発信のアキバ文化が各国で日本以上にヒートアップしている様子を伝えています。
(※3)「宅道」:「オタクの道」の意味らしい。
こういった海外ファンの日本に対する憧憬のまなざしは、日本在住のアキバ系にとっては、いくぶん"ツラい"ものがあります。実際の我々は世間から微妙に距離を置かれ、趣味を公言する時もTPOにそれ相当の気を遣わなければならない存在っ……。うっかり免疫のない人の前や場所で「ときメモのピンク(春日つかさ)は俺のヨメ!」などと"カムアウト"でもしようものなら"ドン引き"または"社会生命(社会的立場)"抹殺は必至です。萌えは心の中にそっとしまっておくのが、いつのまにか我々の基本姿勢になっているのです。悲しいことに(だが萌えるのは「自由だーっ!」※犬井ヒロシ調に)。
吠えるのはさておき、記事でちょっと気になったのが、取材を受けた20代の中国人男性が「アニメの影響もあって8歳くらいの女の子に興味を持つようになった」と書かれていた部分です。アニメが影響しているのなら、アニメ好き=二次元萌え=三次元は無用、というのが本道。アニメ好き=ロリコン(※4)=幼児好き、という発想は邪道というか、根本的に大間違いで、ここは非常に重要です。
(※4)ロリコン:ロリータコンプレックス。
特にこの中国人男性は「道端で見かけた可愛い女の子(幼児?)をカメラに収めて、パソコンにコレクションしている」人物とあります。となれば、これは単なるロリコンの可能性が濃厚で、行為自体も盗撮で日本では犯罪です。なにより、"リアルな幼女"に執着している時点で、次元が"二次元萌え"とは全く異質なものとなります。
悲しいかな、未だにこういう認識でアキバ系(サブカルチャー)の趣味をとらえる偏見があるのもまた事実です。こういった誤解を感じる度に、ピュアな"二次元萌え"の肩身は益々狭くなっていくわけです……(血涙)。そもそもリアルに迷惑をかける可能性がある時点で、人としてアウトでしょう。この中国人男性の記事が普通に組み込まれているところに、どうしようもない世間の冷たさを感じてしまいました。
その他はおおむね好意的で、台北で「涼宮ハルヒ」のフィギュアが人気だったり、タイのコスプレイヤーが「NARUTO」のカカシのコスプレを楽しんでたり、ドイツの女子高生がアニメのサントラをきっかけにX-JAPAN(ビジュアル系)のファンになっていたりと、実に明るく愉快なことになっています。以前から「ビジュアル系」は、海外ではアニメ、マンガ、コスプレと同じカテゴリに入ることで知られてますが、どうやらそれは今も健在みたいですね。
話は、ちょっと変わりますが、アメリカのTV業界の例では、SFドラマ『HEROES(※5)』に登場する「ヒロ・ナカムラ」という日本人キャラが一番人気になっている現象が紹介されていました。ヒロのルックスは小太り&眼鏡&地味目なアジア系男性。とても人気が出るようには見えません。そんな彼が、SFやマンガが好きな「オタク」でありながら、時空間を操る超能力を持つ「究極のオタク」として視聴者の人気を獲得しているらしいのです。非常に気になるので、早く日本でも放映していただきたいものです。
今回のニューズウィークの特集は、普段からこの手のネタをチェックしている側からすると、もう少しボリュームが欲しかったというのが正直なところです。とは言うものの、中には、とても興味深い情報もしっかりあったので、機会があれば読んでみても損はないかと思います。気になった方はバックナンバーが通販でも買えるようなので、そちらを利用するのもいいかも知れません。またこういう特集があればジャンジャン買いますので、編集部の方々には頑張って再挑戦していただきたいと思う次第であります。
(※5)SFドラマ『HEROES』:2006年にアメリカで放映開始。普通の人々が、ある日突然超能力に目覚める様が描かれていく。能力者は「ヒロ・ナカムラ」以外にも複数名登場。2006年度最大のヒット作品と評価され、今年に入って人気ドラマ『24(シーズン6)』の視聴率を越えたことでも話題となった。
■アキバ系カオス通信バックナンバー
・第16回「メイド喫茶の選び方10ヵ条(暫定版)」
・第15回「自腹ガチ評価!春のB級映画まつり」
・第14回「4コマ漫画雑誌のムーブメントを探る」
・第13回「テクノ音楽でピコピコしよう」
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レッド中尉(れっど・ちゅうい)プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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