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 ◇WBSCプレミア12 1次ラウンドB組第2戦 日本6―3韓国(2024年11月15日 台北D)

 【辻発彦 視点】侍ジャパンは井端監督の采配がドンピシャではまった。救援陣が強力な韓国相手にジグザグ打線を組んだ。左が続くのは2番・小園と3番・辰己のところだけ。右左どちらの投手が来ても対応できるというのが狙いだ。韓国は左の先発の崔丞鎔(チェ・スンヨン)が2回途中で降板すると右―左―右―左―右―右―右と投手をつないできた。攻撃の交代は清宮に佐野を代打に送っただけ。井端監督はどっしりと構えて戦った。

 選手も監督の狙いは分かっている。2回の逆転劇は10球粘って出塁した森下が流れを作った。5回の攻撃は2死から辰己、森下が連続四球。栗原が追い込まれながら粘った死球で満塁。初見の相手に大振りせず、コンパクトなスイングで対応。ボールを振らずクリーンアップ3人がつなぎの意識で満塁のチャンスをつくった。

 ここで牧。初球のスライダーがボールになって精神的に余裕ができた。2球目は同じスライダーを空振りした。牧は振った後にうなずいていた。空振りしたことによって曲がり幅を確認し、こういう感じなのかという手応えがあったと思う。3球目、同じスライダーが外角に来た。これも無理に引っ張らずコンパクトなスイングで中前に運んだ。牧を6番に入れたのも井端監督の判断。井端野球を理解した選手たちがつないでつないでの逆転勝利。この一勝は大きい。(スポニチ本紙評論家)