【ニューヨーク時事】米大統領選でトランプ前大統領の返り咲きが決まって以降、同氏が掲げる政策を材料に関連銘柄を売買する「トランプ・トレード」が米株式市場を席巻している。

 ハイテク株中心のナスダック総合指数は史上最高値を連日更新。規制緩和や減税といった公約が景気拡大につながるとの期待が相場を押し上げ、年末に向けて一段高を予測する声は多い。

 ただ、トランプ氏の目玉政策である輸入品への一律関税などは再びインフレを悪化させ、米経済にマイナスに働くと懸念されている。同氏が大統領に就任する来年1月が近づくにつれ、先高観が急速にしぼむ可能性もある。

 株高のけん引役は、トランプ氏を支援する実業家イーロン・マスク氏率いる電気自動車(EV)大手テスラだ。次期政権下で、自動運転技術の開発を有利に進めるとの思惑から買い人気を集め、週間で29%高と急伸。時価総額も週末8日の終値で1兆ドル(約150兆円)を突破した。ナスダックが6日以降、3日連続で終値ベースの最高値を塗り替える原動力となった。

 ダウ工業株30種平均も最高値を更新中だ。8日には一時、初の4万4000ドル台を付けた。規制緩和法人税率引き下げが企業業績の拡大に寄与するとの見方から、ゴールドマン・サックスなど金融株が買われた。連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ継続も相まって、「相場は当面上がり続ける」(市場関係者)との観測が広がる。

 しかし、トランプ氏が目指す輸入品への一律10〜20%の追加関税が実際に導入されれば、輸入物価の上昇によりインフレが再燃し、企業の収益力も打撃を受けるのは必至。年明け以降はこうした負の側面が意識され、トランプ相場が調整局面に入る展開も予想される。