「度が過ぎている」サイバー・藤田晋社長が怒り心頭…!町田ゼルビアが「悪質すぎる誹謗中傷」を刑事告訴

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「アンチ町田」が暴走

FC町田ゼルビアなら叩いてもいい、FC町田ゼルビアに問題があると考えている人たちは、すでに度が過ぎています」

こう訴えるのは、FC町田ゼルビアのオーナーを務めるサイバーエージェントの藤田晋社長(51歳)だ。

10月15日、FC町田ゼルビアがSNS上での「悪質な誹謗中傷」に対し、刑事告訴に踏み切った。

'19年にサイバーエージェントが経営に参画、'23年シーズンからは元青森山田高校の黒田剛監督(54歳)を招聘したFC町田ゼルビアは、黒田監督就任1年目にJ2優勝。今季はJ1昇格1年目ながら3位につけ、リーグの台風の目となっている。

ただ一方で、その守備重視の戦術やロングスローを多用したスタイルには批判的な声も多く、「町田アンチ」と呼ばれる他チームのファンからの誹謗中傷が殺到していた。

9月28日のサンフレッチェ広島戦では、FC町田ゼルビアがロングスローの際にボールを拭くために用意したタオルに、広島の選手が水をかける行為が発生。黒田監督は試合後の会見で「反スポーツ行為に値すると思う。ロングスローには守備の対応力で阻止するべき。正々堂々とやってほしい」と抗議したが、この件でもSNSは「炎上」し、誹謗中傷にますます拍車がかかっていた。

FC町田ゼルビアの運営会社「株式会社ゼルビア」でCOOを務める上田武蔵氏(30歳)は、刑事告訴に至った経緯をこう説明する。

「サッカー業界のゴミ」呼ばわり

「悪質な誹謗中傷は、黒田監督が就任してJ2で首位を独走し始めた昨シーズンから始まり、今季J1で首位に出たタイミングで過熱しました。今では誹謗中傷の対象は、選手、監督、スタッフ、クラブ全体に及びます。

調査の結果、誹謗中傷をしているのは他クラブのファンの方が大半だとわかりました。黒田監督を『暴力団』呼ばわりする、クラブを『サッカー業界のゴミ』呼ばわりするなど度が過ぎた投稿に加え、なかには殺害予告とも言える投稿まであります。

監督や選手らは極力SNSを見ないようにするなど自衛してくれていますが、それでも甚大な精神的苦痛を被っており、これ以上看過することはできない状況になっています。

また、悪意ある誹謗中傷から派生した風評被害によって、クラブとしても多大な経済的損失を受けています。『なぜゼルビアのようなチームを応援しているんだ』という抗議が入るなど、スポンサーの方にもご迷惑をおかけしてしまっています」

そこでFC町田ゼルビアは、スポーツ選手をはじめとする著名人の権利保護に関して、実績のある加藤博太郎弁護士(38歳、加藤・轟木法律事務所)に対応を依頼。加藤弁護士は、性加害疑惑を報じられた日本代表MF・伊東純也の弁護を担当したことでも知られる。

加藤弁護士が言う。

1週間で1000件

「ゼルビアのオーナーである藤田社長とも協議を重ねましたが、『選手やスタッフには安心して競技に集中できる環境をつくってあげたい』という強い思いを持っていました。

誹謗中傷は選手や監督のみならず、裏方のスタッフにも及んでいます。グラウンドにタオルを置いたスタッフの顔写真を撮影してSNSにアップし、『犯罪者顔だ』と誹謗中傷している投稿もあります。スタッフのみならず、その家族も疲弊しており、事態は深刻です」

チームは現在首位争いを繰り広げており、今回の決断には躊躇もあったという。上田氏は明かす。

「残り5試合というタイミングではありますが、刑事告訴に踏み切るしかないという判断をいたしました。フロントとしては一日でも早く監督、選手、スタッフが試合に集中できる環境をつくりたかった。

試合の帰り道、未成年のサポーターが相手のファンの方に『おい、雑魚』『クソゼルビアが』といった言葉を投げかけられ、怖い思いをしたということもありました。サポーターの方にも安心して、気持ちよくゼルビアを応援していただきたいという思いです」

加藤弁護士の顧問就任と同時に、対応策として誹謗中傷に関する情報提供窓口を設置したが、開設から約1週間で、すでに1000件近い情報が寄せられているという。加藤弁護士が言う。

藤田社長の切なる思い

「これまで、さまざまなスポーツ選手からSNSでの誹謗中傷に関する相談が私のもとに寄せられていました。たとえメンタルの強いアスリートでも、ボディブローのようにきいてくるものです。伊東選手も相当疲弊し、少なからずパフォーマンスにも影響が出ました。

現在、アスリートに対するSNS上の誹謗中傷は社会問題になっており、厳正な対処をしていかなければいけないと考えております。

今回、誹謗中傷の中でも極めて悪質なものについて刑事告訴することにしましたが、これが誹謗中傷について考えるきっかけになればという思いです」

今回の刑事告訴に関しては、オーナーである藤田社長もこう訴える。

「刑事告訴にまで踏み込むのは本意ではありませんが、現状はいじめのような構図になっており、この状況を変えるには、インパクトのある処罰によって事の重大さを理解してもらうしかないと思っております」

プロスポーツチームとしては、異例の決断を下したFC町田ゼルビア誹謗中傷に悩むアスリートたちが見守る注目の刑事告訴となりそうだ。

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