藤田菜七子騎手が引退…止まらないスマホ持ち込み「どのような対策を講じたのか?」

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 ーー「藤田菜七子騎手に スマホ不正使用疑惑」

 文春オンラインによるこの一報で競馬界に大きな衝撃が走った。そして10月11日、女性ジョッキーの象徴ともいえる藤田菜七子騎手(27)の引退がJRAより発表された。長年、女性騎手の先頭を走り続けてきた彼女の突然の決断に、競馬界全体、競馬ファンの驚きは隠せない。SNSでも「菜七子騎手引退は寂しい」、「やめ方があまりにも悲しい…」、「そんな終わり方ってあるのかよ…」などと、数多くの競馬ファンから、藤田騎手引退に悲しいなどの声が投稿された。

 9日の文春オンライン、スマホ不正使用疑惑の報道受け、JRAは藤田に対して事情聴取を実施。彼女が昨年4月までに複数回、調整ルームにスマホを持ち込み通信していたことが確認された。これを受けてJRAは重大な非行があったと認め、10日に騎乗停止処分を発表。裁定委員会の議定までの間、騎乗停止となっていたが…一夜明けて事態は一転。藤田菜七子騎手から引退届が提出され受理された。関係者の話しによると号泣しながら引退届を書いたという。

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JRA女性騎手初のG1騎乗を果たす
フェブラリーS:コパノキッキング

 藤田は2016年に騎手デビュー。16年ぶりのJRA女性騎手ということで、デビュー戦から大きな話題を呼び、毎週のように注目を浴びる存在となった。2019年のカペラSでは、JRA女性騎手として初の重賞V。また、JRA女性騎手として初めてG1レース(2019年2月17日・フェブラリーS)にも参戦。彼女の活躍は国内にとどまらず、今年8月には英国のシャーガーCにも参加するなど、数多くの記録とともに歴史に名を刻んだ。

 昨年5月にも6人の若手騎手(今村聖奈、河原田菜々、小林美駒、故・角田大河、永島まなみ、古川奈穂)が調整ルームでスマホを使用していたことが発覚し、騎乗停止処分を受けたが、その後も他のジョッキーの違反は相次ぐ。今年5月には、水沼元輝騎手(22)がスマホケースだけをロッカーに預ける偽装工作を行い、9ヶ月間の騎乗停止処分を受ける事態に発展。また、今月には永野猛蔵騎手(22)、小林勝太騎手(21)が同様の違反で、裁定委員会の議定があるまで騎乗停止が決まったばかりの中で、人気女性騎手まさかの電撃引退騒動にまで発展してしまった。

「どのような対策を講じて来たのか?」
東京競馬場

 この騒動にJRAで競走馬を100頭以上所有している馬主は、「本人が悪いのはもちろんそうです。ですが、こう何度も同じ問題を起こされて、どういう管理をJRAはして来たのでしょうか。根本的な対応に組織として怠慢を感じざる得ませんね。これまでどのような対策を講じて来たのか?説明して欲しいものです。一般企業ならトップが謝罪、解任されてもおかしくない事象なんじゃないかなと思います。理事長や騎手クラブはどのように考えているのか会見をすべきではないかとは思います」などと、JRAの対応、組織そのものに対しても疑問の声をあげた。

 藤田菜七子という象徴的な女性騎手の存在が競馬界を去ることは、若手女性騎手たちにとっても大きな痛手だ。「藤田菜七子騎手に憧れて騎手を目指した」という声は少なくなく、その影響力は計り知れない。

 今回の引退劇は、取り締まり強化を促すきっかけとなるのかもしれないが、残念ながら藤田菜七子騎手がターフに戻ってくることはもうないだろう。通信機器不正問題が影を落とす中での引退となってしまい、藤田菜七子騎手の輝かしいキャリアを一瞬にして曇らせてしまったのは残念でならない。