スコルジャ体制では攻撃面での課題が露呈【写真:徳原隆元】

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セレッソ大阪戦に0-1で敗れ、今季初3連敗に加え、3試合連続の無得点

 浦和レッズは10月5日にJ1第33節のセレッソ大阪戦に0-1で敗れた。

 3連敗に加え、3試合連続の無得点も今季初と、攻撃面での問題が大きくなってしまっている。

 浦和は前節のヴィッセル神戸戦でDFマリウス・ホイブラーテンが負傷して離脱。さらに、スウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンは、膝の問題でC大阪戦の2日前にメディカル部門からストップが掛かったことが明らかになった。さらに、FWブライアン・リンセンは2試合前のFC東京戦で右ハムストリングの肉離れを発症して離脱した。

 このC大阪戦に向け、自陣からショートパスをつなぐことを基本にした戦いを挑んだが、そこでは難しさが多く出てしまった。特に欠場した3選手の影響は各所で大きく、左利きのセンターバックが不在になったことで左サイド側からの前進が厳しくなり、プレーメーカーのグスタフソン不在は相手のプレスを回避するうえで必要な時間とスペースを生み出し、周囲の味方に提供することが難しくなった。そして最終ライン背後へ動き出すリンセンの不在により、相手のプレスを逆手に取ったロングボールを生かす場面は少なかった。

 マチェイ・スコルジャ監督も試合後会見で、「相手ボランチの背後や最終ラインの背後をより良い形で使わなければいけないと(ハーフタイムに)話した。前半はショートパスのみだったので相手はプレスを掛けやすかったと思う。そして、現時点ではコンビネーションで相手のハイプレスをはがしてプレーするところまでいっていない」と現状について話した。

 後半はFWチアゴ・サンタナと左サイドで先発していたFW松尾佑介に2トップを組ませ、ボランチからMF渡邊凌磨を左サイドにシフト。トップ下でスタメン出場していたMF原口元気をボランチに下げた。段階的に選手交代も行い、後半40分には右サイドを切り崩してDF関根貴大のラストパスに途中出場のMF小泉佳穂がゴール前に入り込んでシュートを放った。ようやく迎えた決定機だったが、相手DFのブロックでシュートはわずかに枠を外れてゴールとはならなかった。

 前半の時点でC大阪のDF為田大貴が関根まで長い距離のプレスに来るタイミングではズレが発生していて、そこを起点にC大阪のプレスを外せそうな場面はあった。しかし、その相手が難しい対応を迫られた形を繰り返すことはできず、有効な攻撃を再現できなかった。ボランチでフル出場のMF安居海渡が「受けて、出しどころがない状況がどのポジションでも起きてしまった」と話すなど、その場を何とか凌いでいくボールの動かし方が多くなってしまった。

 小泉は「もう少し相手を見てサッカーできたらいいかなと思う」として、「味方同士や目の前の敵ばかり見ている状態なので、全体の構造や広い視点で見えると。修正のできないまま進んでしまう」とも話した。

 昨季に指揮を取ったところから新監督として復帰し4試合を終えたスコルジャ監督は「チームのベストなセットアップ、ベストな形を見つけていきたい」と話したが、「正直なところ、色々な違った特徴の選手がいるので、どの選手が起用できるのかが重要になる。例えば、ブライアン・リンセンとチアゴ・サンタナを比較しても全く違うタイプのストライカーだ。そのような点も考慮しながら準備をしたい。我々が思っているほど時間はない」と危機感を言葉にした。

 神戸戦でペナルティーエリア内でのシュートが1本だったというデータもあり、決定力というよりもチャンスを作り出す部分に問題があるのは明らか。代表活動で中断する2週間の間にどれだけの積み上げができるかと、離脱している3人の外国人選手がどのタイミングで復帰できるかもポイントになりそうだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)