ジャパンダートクラシックを制したフォーエバーヤング

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 「ジャパンダートクラシック・Jpn1」(2日、大井)

 やはりモノが違った。記念すべき“新生ダート3歳クラシック3冠レース”最終戦は、単勝1・7倍の支持を得たフォーエバーヤングが完勝。「第24回JBCクラシック・Jpn1」(11月4日・佐賀)への優先出走権を得たが、予定通りBCクラシック(11月2日・米デルマー)制覇へ向かう。2着にはメンバー最速の上がりで猛追した3番人気のミッキーファイト。3着に4番人気のサンライズジパングとJRA勢が上位独占。2番人気の東京ダービー馬ラムジェットは4着と伸びを欠いた。

 これが世界を相手に戦ってきた実力だ。役者が一枚も二枚も上だった。

 スタートのつまずきはご愛嬌(あいきょう)。最内枠だったが「もまれるのは嫌だった。ハナも考えたけど、すぐ2番手に切り替えてリズム良く運べました」と坂井。すんなり逃げたカシマエスパーダの番手に収まり終始楽な手応えで追走。4角手前でやや手応えが怪しくなったが、直線を向いて先頭に並びかけると、ラスト200メートル手前でこれを難なくパス。ミッキーファイトの猛追を受けたが、陰さえ踏ませなかった。挙がった左手が誇らしかった。

 スタンドの大歓声にガッツポーズで応えた主戦は「ホッとしました。負けられないレース。自信を持って乗りました。素晴らしいメンバーだったので、最後まで油断せずに」とさすがに興奮気味だ。前走のケンタッキーダービーでは鼻+鼻差の3着。パートナーにとって初めての屈辱だった。その悪夢を振り払ったのは自身にとって元ジョッキーの父が調教師を務める地。「大井で勝てたのもうれしいけど、“第1回”の記念すべきレース。素晴らしいメンバーの中で勝てたのがうれしい」と胸を張った。

 矢作師にとっても大井競馬場は特別な場所。ことに今年は3月に元調教師の父・和人さんを亡くしたばかり。「ホッとした。前走の疲れを取るのに手間取り、正直八分の状態。よく勝ち切ってくれた。それにしても瑠星のメンタルもすごい。パドックで“勝てますよ”って言ってよ。思い入れのある大井で結果を出せて良かった」。弟子の成長した姿に目を細め、大井の夜空を見上げた。

 3日の朝、2人そろってフランスへ旅立つ。6日には僚馬で同馬主のシンエンペラーで仏G1・凱旋門賞に挑む。主戦は「凱旋門賞も勝てるように」と力強い。フォーエバーヤングは予定通り、BCクラシックへ。14日に出国検疫に入り、22日に渡米予定。春の借りを倍返しに。“世界のYAHAGI”が大暴れの序章を知らせる鐘を鳴らした。