【ソウル時事】韓国の尹錫悦政権は石破茂首相の就任を歓迎している。

 韓国外務省は1日、新政権発足を祝福する報道官論評を発表し、「未来志向的な協力関係をつくるために日本政府と共に努力していく」と表明した。石破氏は「ハト派」(保守系紙・中央日報)とみられており、来年に日韓国交正常化60年の節目を控え、関係強化に期待が高まっている。

 外務省報道官は、岸田文雄政権との間で日韓関係が強化されたと評価した上で「新政権とも緊密に意思疎通し、安全保障や経済、国際的な課題などあらゆる分野で関係を発展させたい」と強調した。また、聯合ニュースは石破氏の首相選出を速報し、岩屋毅外相について「韓日の安保協力を重視してきた政治家」と指摘した。

 岩屋氏は、韓国艦艇による海上自衛隊機へのレーダー照射問題が起きた2018年に防衛相を務めていた。通信社ニューシスは「当時、事態を早期に収拾して韓国と未来志向的な関係を維持する姿勢を示し、自民党内の批判を受けた」と紹介した。

 韓国では日本の「戦争責任」に言及した石破氏の過去の発言が好感され、「前向きな歴史認識を持っている」(革新系紙ハンギョレ)と受け止められている。ただ、石破氏が提唱するアジア版北大西洋条約機構(NATO)構想には「受け入れにくい主張だ」(保守系紙・東亜日報)との警戒感もある。