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鉄砲伝来にともない戦国時代から江戸時代初期にかけて一部の大名の間で運用されたという騎馬鉄砲。

【写真】戦国時代からタイムスリップしてきたかのような光景

今、SNS上ではそんな戦国の騎馬鉄砲武者の姿を再現する試みが大きな注目を集めている。

「大阪城天守閣所蔵の稲富流砲術秘伝書を完全再現」

と自身が騎乗する姿を紹介したのは江州御猟野和式馬術探究会会員のガッチさん(@gatch1028)。


カラフルなふんどし一丁で琵琶湖湖畔を馬を駆りながら火縄銃をかまえるガッチさん。その姿はまさに戦国の騎馬鉄砲武者…。

SNSユーザー達から

「騎馬鉄砲武士か、、!?
イケてる、、カッコいいね!!!(''ω'')ノ」
「さすが!噂通りふんどしカラーにまでこだわりが。そして、確かにこれは時間を選ばないと通報案件・・笑」
「最近乗馬やってる身としてはとんでもないバランス力だと感嘆する
というかこの手の上半身で別の動作する類って手綱どうしてるんだろ
張ってなくても馬が慣性的に動いてくれる感じなのかな?」

など数々の驚きの声が寄せられている今回の試みについてガッチさんに話を聞いた。

ーー『稲富流砲術秘伝書』や、この秘伝について詳細をお聞かせください。

ガッチ:戦国時代の丹後国の稲富祐直(1552年~1611年)という人が興した稲富流砲術の奥義を記した秘伝書です。稲富流砲術は祐直の祖父の代から研究を重ねてきた火縄銃の取扱いや射撃技術をまとめたもので、関ヶ原合戦のあと祐直は徳川家康、秀忠に仕えて将軍家はじめ多くの大名に砲術指南を行いました。その結果、秘伝書の写本も多く残ったのかもしれません。

ーーこの秘伝を再現されようと思った経緯は?

ガッチ:2年ほど前に大阪城天守閣で、疾走する馬上から火縄銃を構える稲富流砲術秘伝書の絵図を見て衝撃を受けました。鉄砲伝来から100年程度でハードだけでなくソフトの研究も相当に行っていた先人の努力に驚嘆すると共に自分でもやってみたいと思うようになり、練習を重ねて御猟野乃杜牧場の先生のご協力もあって実現することが出来ました。

ーー相当な訓練を要したのでは?

ガッチ:普段から在来馬での流鏑馬や馬上武芸の練習しているので照準を安定させることはすぐに出来ましたが、頬付けしか出来ない火縄銃の構え方や絵図のように腰を落とした乗り方には相当な練習が必要でした。

あと、絵図に似たふんどしの生地を後輩が用意してくれましたが、木で出来た和鞍にふんどし一丁で乗るのには普段以上にシビアで、特に和式馬術の特徴である膝を開いて乗ることを意識しないと股が擦れてとても痛い思いをします。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

ガッチ:多くのいいねやリポストをいただいて恐縮しています。アホみたいな絵面ではありますが、和銜(ワバミ)を使ったり虎柄の障泥(あおり)を着けたり出来得る限り絵図に近づける努力をしました。銃はもちろんモデルガンですが。動画も含めて「わかる人が見るとなかなか凄い再現」になっていると思います。

このポストは私個人の趣味である歴史上の逸話や技術の実証の一環ですが、一人でも多くの人が日本の歴史や在来馬に興味をもってもらえるとうれしいです。

◇ ◇

普段は滋賀県近江八幡市にある御猟野乃杜牧場の在来馬で和式馬術を練習しているガッチさん。11月30日には付近の賀茂神社で馬上武芸奉納まつりを開催するということなので、ご興味ある方は是非足を運んでいただきたい。

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)