令和6年12月2日から「健康保険証」が「マイナンバーカード」に一本化されると聞き、よく分からず不安です。何かメリットがあるのでしょうか?
保険証利用登録をしていない場合などには?
12月2日以降、新規の健康保険証発行は終了しますが、経過措置としてその時点で手元にある有効な健康保険証は、最長1年間は利用できることとされています。ただし、有効期限が令和7年12月1日より前に到来する場合には、その有効期限までは利用可能です。
また、マイナンバーカードを発行していない方や紛失・更新中の方、保険証利用登録をしていない方に対しては、申請により「資格確認書」が無償で発行されます。資格確認書を医療機関等の窓口で提示することで、引き続き一定の窓口負担で医療を受けることができます。
保険証利用登録はどこでできる?
マイナンバーカードをすでに保有している場合に、保険証利用登録をする方法は、以下の3つです。
(1)医療機関・薬局の受付(カードリーダー)で行う
(2)スマートフォン(パソコン)の「マイナポータル」から行う
(3)セブン銀行のATMで行う
上記のいずれかの方法で、最初に一度だけ利用登録が必要となります。
マイナンバーカードを紛失した場合には?
マイナンバーカードのICチップに記録される情報は、カード面に記載されている氏名・住所・生年月日・性別・個人番号・本人の写真、さらに公的個人認証の電子証明書など限られた情報のみとされており、税金や年金などのプライバシー性の高い情報は入っていません。
そのうえで、万が一、盗難や紛失した場合には、クレジットカードやキャッシュカードなどと同様に、不正利用を防止するため利用停止するなどの対応が求められます。
デジタル庁では、マイナンバーに関する問い合わせ先として「マイナンバー総合フリーダイヤル」0120-95-0178(フリーダイヤル)を設置しており、マイナンバーカードや電子証明書を搭載したスマートフォンの紛失・盗難などに対応しています。
マイナンバーカードによる健康保険証利用のメリット
マイナンバーカードで受診する主なメリットは、以下のとおりです。
(1)過去の診療情報などを医師と共有することにより、よりよい医療を受けることができる
本人の同意のもとに、特定健診(メタボ健診)の結果や過去の診療・薬の情報などが医師と共有されることで、重複検査の削減や薬の重複投与・禁忌投与のリスクが軽減されます。また、旅先や災害時もこれらの情報が生かされます。
(2)手続きなしで、高額医療費の限度額を超える支払いを免除できる
医療費が高額となった場合に申請する「限度額適用認定証」の手続きをすることなく、医療機関等での窓口負担を限度額の範囲内に抑えることができます。また、高齢受給者証の持参も必要なくなります。さらに、就職や転職などをしたときも、保険証の切り替えや更新が原則不要となります。
(3)医療費を節約できる
現行の健康保険証を利用するよりも、マイナンバーカードで受診するほうが医療費を節約できます。医療機関や薬局での初診・調剤の場合は20円、再診でも10円節約できます。
まとめ
マイナンバーカードの利用には、個人情報の漏えいリスクのほか、政府による一元管理や利用範囲のさらなる拡大などに反対する意見も、依然として一部存在するようです。
一方で医療現場では、これまで紙で発行されていた「処方せん」から「電子処方せん」への移行が進められているようです。マイナンバーカードを医療機関の受付で利用する際に、電子処方せんを選択することで、薬局にも薬の情報を共有できる仕組みです。
このような電子化が進むことで、オンライン診療・服薬指導が実現され、地方の過疎地では自宅で診療を受けやすくなる……などの効果もあるでしょう。
出典
デジタル庁 マイナンバーカードの健康保険証利用
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー