最終回より南くん(八木勇征)とちよみ(飯沼愛)
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 飯沼愛主演、八木勇征(FANTASTICS)共演の7月期テレビ朝日系ドラマ「南くんが恋人!?」(毎週火曜よる9時〜)が10日に最終回を迎え、ネット上は涙の感想であふれた(※ネタバレあり。最終回の結末に触れています)。

 南くんの言う通り、彼はもうこの世に存在しておらず消えゆく運命なのか? 結末が注目を浴びるなか、最終回は南くんの「ちよみの体の中で一番好きなところ」を巡る幸せいっぱいの会話で幕を開けた。前話でちよみの家族の前に姿を現した南くんは、朝食も皆と一緒。笑顔あふれる食卓だったが、早々から嫌な予感として注目を浴びていたのが、ちよみのモノローグが「みんな考えたくなくて考えるのが怖かったんだと思う」「だからそんな運命なかったことみたいにして過ごしていた」など“過去形”になっていたこと。

 そして、何もせずにはいられないと藁をもつかむ思いで大学の先生(升毅)にすがった南くんの父・晴幸(沢村一樹)。しかし検査の結果、運命を変えられないことをはっきり悟った南くんは「すっきりした」と吹っ切れたように、「自分と同じ高さくらいのケーキが食べる」「“お城”に行く」などやりたいことをかなえ、会いたい人に会いに行った。

 なかでも視聴者の涙を誘ったのが、南くんが命を落とすきっかけだったかもしれないトラックの運転手を恨むことなく、最後までちよみの幸せを願っていたこと。「ちよみ、世界で一番幸せになれ!」という全力のエールは視聴者を激しく揺さぶり、目覚めたちよみの隣に南くんの姿がなかった瞬間「消えちゃった?」「やだー!」「元に戻ると思ったのに…」「いまだに信じられん…」「涙が止まらない」「心の整理が…」とショックの声が続々。また今年1月クールのドラマ「婚活1000本ノック」も八木が幽霊の設定で、ラストがヒロインの前から姿を消す展開だったことから「2作連続、1話から死人…そんなことある!?」「2作連続で天国に行った(涙)」との声も。

 本作の岡田惠和が脚本を手掛けた高橋由美子&武田真治共演の1994年版(男女逆転)とは、南くんがちよみ以外の人の前に姿を現す展開が大きく異なったが、最終回でも令和ならではのエピソードが登場。2011年に大震災が発生した際に大先生(加賀まりこ)が言った言葉を楓(木村佳乃)が皆に聞かせる場面で、それはこんな言葉だった。

 「悲しいね、とっても。悲しいことは起きちゃうんだね突然。なんの前触れもなく。悲しいことは起きる。どうしようもないこともある。人間は進歩して悲しいことを止めることができるようには少しだけなったし、自分たちの力で止められる悲しいことは止めるべきだけど、それでもどうしようもなく悲しいことは起きる。そして悲しい亡くなり方をする人はどうしてもいる。どうしようもなく悲しい亡くなり方はある。でも亡くなり方が悲しいからってその人の人生をかわいそうだと思うのはやめよう。亡くなり方ばかりじゃなくて楽しく生きた時のことを思い出そう。かわいそうな人で終わらせちゃいけない。幸せな人にしなくちゃいけない。それができるのは生きている人たちだ」

 1994年版は、徐々に衰弱し眠るように死んでいくちよみを南くんが看取るという2人の物語だったのに対して、令和版は南くんが愛する人たちすべてに感謝と別れを告げる家族の物語として着地する格好となった。(石川友里恵)