アメリカの民間宇宙企業Axiom Space(アクシオム・スペース)は2024年8月5日付で、同社の商業有人宇宙飛行ミッション「Ax-4」に指名されたクルーを公開しました。


【▲ Ax-4に指名されたクルー。左からPeggy Whitson宇宙飛行士、Shubhanshu Shukla宇宙飛行士、Sławosz Uznański宇宙飛行士、Tibor Kapu宇宙飛行士。(Credit:Axiom Space)】

Ax-4はアメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)の有人宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」を使用する有人宇宙ミッションです。Crew Dragonを搭載したSpaceX社の「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットはアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられます。その後、Crew Dragonは国際宇宙ステーション(ISS)へドッキングし、クルーは科学実験や技術実証などを最大14日間に渡り実施して地球へ帰還します。なおNASA Space Operationsが2024年8月10日にXへポストした内容によると、Ax-4の打ち上げは2025年春以降に予定されています。



Ax-4に指名されたクルーは全て民間人で、コマンダーを務めるPeggy Whitson宇宙飛行士、パイロットを務めるShubhanshu Shukla宇宙飛行士、ミッションスペシャリストのSławosz Uznański宇宙飛行士およびTibor Kapu宇宙飛行士です。Axiom Spaceによると、4人のクルーは現在ISSの運用国で構成される「Multilateral Crew Operations Panel(MCOP)」による正式な承認を待っている状態です。また、同社によると4人のクルーはアメリカ・ヒューストンにてアメリカ航空宇宙局(NASA)やSpaceXとの訓練を開始しています。


Peggy Whitson宇宙飛行士は2023年5月22日に実施されたAxiom Spaceの有人飛行ミッション「Ax-2」でもコマンダーを務めました。Whitson飛行士は元NASAの宇宙飛行士で、NASAの宇宙飛行士として3回の飛行経験があります。


【▲ 2023年5月に実施された「Ax-2」でISSに到着したPeggy Whitson宇宙飛行士。(Credit: NASA)】

インド空軍出身のShubhanshu Shukla宇宙飛行士は2024年2月に同国の宇宙飛行士として選出され、インド宇宙研究機関(ISRO)が開発を進める同国初の有人宇宙船「Gaganyaan(ガガヤーン)」にも搭乗する予定です。


またインドの有人宇宙開発はアメリカとも協力して実施されています。ISROが2024年8月2日付で発表したリリースによると、Axiom SpaceとISROは「Space Flight Agreement(SFA、宇宙飛行協定)」を締結し、Ax-4に向けたクルーの飛行準備や訓練を開始しています。


Ax-4にはヨーロッパのクルーも2人搭乗します。Sławosz Uznański宇宙飛行士はポーランド出身で、2022年11月にヨーロッパ宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士候補者に選ばれました。Axiom Spaceによると、ポーランドの宇宙飛行士が宇宙に滞在するのは約40年ぶりになるということです。またハンガリー出身のTibor Kapu宇宙飛行士は同国の宇宙飛行プログラム「Hungarian to Orbit(HUNOR)」で選ばれ、Ax-4ミッションに参加します。


なおAxiom Spaceは商業有人宇宙飛行ミッションに3回成功しています。1回目の「Ax-1」は2022年4月、2回目の「Ax-2」は2023年5月、3回目の「Ax-3」は2024年1月に実施されました。


 


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文/出口隼詩 編集/sorae編集部