加齢黄斑変性を調べる眼底検査ってどういう検査? ほかにどんな検査で調べるの?

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加齢黄斑変性(AMD)は、中高年に多く見られる視力低下の主な原因の一つであり、失明原因の第4位とも言われています。この病気を早期に発見し、進行を防ぐためには、定期的な眼底検査が不可欠です。そこで、加齢黄斑変性を調べるための眼底検査について、はせがわ眼科の長谷川裕基先生にMedical DOC編集部が話を聞きました。

≫加齢黄斑変性に有効な抗VEGF硝子体注射とは? 治療の流れや合併症リスクも解説

監修医師:
長谷川 裕基(はせがわ眼科)

日本大学医学部医学科卒業後、トヨタ記念病院や昭和大学病院などで、小児から高齢者までさまざまな目の疾患の治療に積極的に携わり経験を積む。平成27年11月、はせがわ眼科を開院、院長となる。日本眼科学会認定専門医。

加齢黄斑変性って何? 眼科医が徹底解説

編集部

加齢黄斑変性とはどんな病気ですか?

長谷川先生

加齢黄斑変性は、網膜の中心部にある「黄斑」が加齢によって変性することで、視力が低下したり視界に歪みが出たりする疾患です。黄斑は視力の中心を担う部分で、細かい物を見る際に重要な役割を果たします。「萎縮型加齢黄斑変性」と「滲出型加齢黄斑変性」がありますが、治療の対象となるのは主に滲出型加齢黄斑変性です。

編集部

滲出型加齢黄斑変性について教えてください。

長谷川先生

網膜の下に新しい血管(新生血管)ができて、この血管が黄斑にダメージを与えるのが滲出型加齢黄斑変性です。新生血管は非常にもろく、成分が漏れ出てむくみとなったり、出血を起こしたりしやすい特徴があります。

編集部

どのような症状が出るのですか?

長谷川先生

初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いのですが、進行すると視力の低下や視覚のゆがみが生じます。また、視野の中心が見えにくい、色の識別が難しいといった症状が出ることもあります。

編集部

加齢黄斑変性の原因やリスク要因はあるのですか?

長谷川先生

正確な原因は明らかになっていませんが、加齢はもちろんのこと、喫煙、高血圧や心血管疾患など、いくつかのリスク要因が知られています。また長期間の紫外線曝露もリスク要因となります。また、日本では、男性は女性よりも発症率が高いとされています。一部、遺伝的要因もあるとも言われています。

加齢黄斑変性の治療法は? どんな検査で診断されるの?

編集部

なるほど。では加齢黄斑変性の治療はどのように行われるのですか?

長谷川先生

最も多く行われているのが「抗VEGF療法(抗VEGF薬硝子体内注射)」という治療法です。ほかには、光感受性物質を体内に注入したあとに、それと反応するレーザー光を当てる光線力学療法(PDT)や病状が悪化したケースには硝子体手術などの治療法があります。

編集部

最も多い「抗VEGF療法(抗VEGF薬硝子体内注射)」について教えてください。

長谷川先生

むくみや出血の原因となる新生血管の成長を促進するVEGFという物質の作用を抑制する治療法です。このVEGFを抑える薬剤を少量注射することで、新生血管の成長を抑制します。

編集部

そもそも加齢黄斑変性かどうかはどんな検査でわかるのですか?

長谷川先生

加齢黄斑変性を正しく診断するためには、視力検査はもちろんのこと、眼底検査や造影検査などの検査が必要です。眼底検査は、眼科医が網膜の状態を詳しく観察する検査が一般的で、出血や新生血管を調べます。造影検査は、蛍光色素を含んだ造影剤を腕の血管から注射して、眼底を撮影する検査です。そして最も重要なのはOCT(光干渉断層計)検査です。網膜の3次元的な断層撮影で病型や進行の程度を把握する眼底検査です。最近では、OCTアンギオグラフィー(光干渉断層血管撮影)という造影剤を使用しなくとも新生血管の状態を把握しやすい機器も出てきました。

眼底検査、OCT検査について詳しく教えて!

編集部

眼底検査について、もう少し詳しく教えてください。

長谷川先生

一般的に「眼底検査」というと、多くは瞳孔を開く目薬をさして、眼科医が眼底を観察する検査を言います。ただし、瞳孔を開かなくてもある程度眼底所見を診ることはできます。またOCTをはじめ、様々な写真での所見も併せた評価も参考にします。

編集部

OCT検査のメリットは?

長谷川先生

一つは、表面から見てもわからなかった浮腫や神経線維の減少などの異常や変化が発見しやすいということ、もう一つは、短時間で検査ができ、瞳孔を開く目薬や造影剤を使わずに検査できるため、患者さんの負担が少ないというメリットがあります。

編集部

では、OCT検査のデメリットありますか?

長谷川先生

侵襲のある検査ではないですし、保険によって1割または3割負担の費用が発生することと、検査中に少し眩しいことを除けば、とくにデメリットはないと思います。

編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

長谷川先生

黄斑変性と言っても、全例が治療対象となるわけではありません。完全に治りきる病気でないが故に、治療の是非について、医師としっかり相談することが重要です。悪化してからでは治療が効きにくいこともあるため、日々の観察も大事です。少しでも異常を感じるようであれば、お早めの医療機関受診をお勧めします。

編集部まとめ

加齢黄斑変性は、早期発見が非常に重要で、眼底検査は、そのための有力な手段であり、定期的な検査を受けることで、早期の発見が可能となります。ちょっとした見え方の変化に気づいた人や健康診断などで指摘された人は、早めに眼科医を受診し、必要な検査と治療を受けることをお勧めします。

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