ヤーレンズ(左:楢原真樹 右:出井隼之介)

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―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

同期が次々売れる、圧倒的な絶望感……。「自分たちだけが、お笑い好きからも見放され”無風”だった」

史上最多の組数が参加したM−1グランプリ2023。そこで僅か1票差で優勝を獲り逃した漫才コンビ・ヤーレンズ。一晩で人生が変わると言われる大舞台で、2位ながらも圧倒的な実力を見せつけた彼らだが、それぞれの受け止め方は正反対だったようで……。

彼らの「ラジオや配信も見ている」と話すプロインタビュアー・吉田豪が切り込んだ。

◆中身一切なしのラジオが、妙に面白い理由

――つい先日、ジグザグジギーとのツーマンライブで、出井さんが僕の宣材写真をイジってるところを配信で見ましたよ(笑)。

出井:ハハハハハ! たまに宣材写真のボケが必要なときに吉田さんのお写真を使わせていただいてます。おかげさまでけっこうウケるので(笑)。

――あれでスベッたら寂しかったですけど、ちゃんと笑いが取れてたので安心しました!

出井:よかった、これで公認で(笑)。……っていうか配信買ってくださったんですね。

――ヤーレンズのANN0(オールナイトニッポンZERO)も聴いてます。単純におもしろいと思って。

出井:え、うれしい!

――ただし中身はゼロっていう(笑)。

楢原:コンセプトそれなんで(笑)。

――ひたすら楢原さんがボケて、そこに出井さんが乗っかって説明してを繰り返す、あのスピード感、あのボケの数。中身は何もないのも画期的だと思います。
   
出井:よく「情報をクラウドで共有してるのかっていうぐらい速い」って言われます(笑)。

――どういうボケを入れるのかって、絶対に打ち合わせしてないじゃないですか。

出井:してないですね。

――だから当然、中身はなくなる(笑)。

楢原:そう、中身はなんにもないですね。次の弾こめてるあいだ説明でつないでる、と。

――ほかの芸人ラジオがやってないことをやろう、みたいなテーマがあったんですか? 

楢原:そうですね。エピソードトークをダラッと話すスタイルはタイプ的に向いてないな、と。1個の話を長く話すのはあまり好きじゃないんで。だったら僕らは違うことやったほうがいいかなっていうことで、普段しゃべってるのがホントにあんな感じです。

――日常的にああいう会話をしてるんですね。

出井:普段から楽屋でもコンビでしゃべるほうではあるんで、それがまんまラジオに活きてます。それを公開でやってるのがラジオ。

――話すのは芸能スキャンダル関係?

出井:芸能スキャンダルは好きですね。

――プロレス、格闘技関係も多いですよね。

出井:僕はラジオを聴いて育ったんで、バッファロー吾郎さんとかケンドーコバヤシさんみたいに、プロレスをはじめとしたマニアックなこともラジオではぜんぜん言っちゃうもんだっていうのが刷り込みとしてあって。リスナーの「誰がわかんねん!」とも誰も言わないまま普通に話をしてたのが印象深いんですよね。

――そのせいで、あきらかに世代的にはちょっとズレのある話が多くなる。なんで今「俺ごと刈れ」(橋本真也と小川直也の合体技)の説明をしてるんだっていう(笑)。

出井:ハハハハハ! そうなんです(笑)。

――出井さんはプロレス&格闘技マニアだと思いますけど、楢原さんはどうなんですか?

楢原 2000年代のプロレスぐらいですね。僕はその頃が一番テレビとかラジオにめちゃめちゃ触れてたんで。取り立てて好きでもなかったんですけど、夜中までテレビを観てたらなんとなく『ワールドプロレスリング』も観てて。ホントにテレビっ子だったんです。

◆「みんなが笑ってくれなくなったら、芸人辞める」