「わざわざ食べに行きたいナポリタン」って? 飽きさせない秘訣はアノ野菜!?
「おとなの週末2024年6月号」の取材のため、ナポリタンを実食したスタッフからライター菜々山と編集武内による対談。ナポリタンの魅力、存分に語ります。
あの色、あの味が忘れられない……
武「ナポリタンって難しいですよね……、茹で置きした麺、ウィンナー(ベーコン)、ピーマン、玉ねぎなどの具材、味付けにはケチャップを使い、よく炒め合わせる。というのが定番なので、どこで食べてもそれなりにおいしい。だったら近所でいいじゃんってなりますよね。わざわざ食べに行ってもらいたいと思える店を探すのに苦労しました」
菜「分かる〜!でもこちらの洋食店・レストラン部門では個性が光る店がたくさんあったよ」
武「ほほう、例えば?」
菜「『essence』の具はなんとキムチ。これが意外にもよく合うんだな。それに『ウシータ』は普通の乾麺じゃなく、浅草開化楼の生麺を使っていたし」
武「こちらも『フェブラリーキッチン』って店でも同じ製麺所のものを使ってましたよ。オムレツを乗せて味の濃さを中和させてるのも個人的に好み。他の店でも熱々の鉄板でとか、グラタンにするとか、おいしくするための工夫と探究心を感じました」
菜「工夫といえばソースもだよね。『ケルン』では仕上げにデミグラスを加えてコクと深みを出していたし、ケチャップだけじゃなくピューレや水煮も使って味に複雑味を感じる店も多かった」
武「こちらの喫茶店部門でソースの個性を感じたのは『ラドリオ』です。ケチャップとタバスコをあらかじめ合わせておくので出来上がりがほんのり辛口。ナポリタン=甘いだけじゃなく、後味にシャープなキレもありました」
ケチャップの味の強さ
菜「ケチャップって思った以上に強い味だから、途中で飽きちゃうんだよね」
武「そうなんです!それがナポリタンの最大の欠点だと思うんですが、実は食べ歩いて気づいたんです。ピーマンの存在の大きさに!!」
菜「と、言いますと?」
武「ケチャップを使っているのでナポリタンは甘い味わいです。玉ねぎは炒められやはり甘く、マッシュルームはほぼ歯応え(?)のためのもの。ベーコン、ハム、ウインナーは肉々しい旨みを与えますが、ケチャップの前では輝ききれません。
しかしピーマンはというと、見た目にも映える緑というのもありますが、あの苦味が心地よい清涼感というか、オアシス的な役割になっているのです」
菜「それは『ムチュ』の店主も同じこと言ってたな。だからピーマンは炒めの最後に入れるのが実は大事なポイントだって」
武「なるほど。あのシャクッとした食感もアクセントになるんですよね」
菜「誰でも作れる単純な料理だけど突き詰めると、とっても奥が深いんだよね。各店の工夫や技は紹介記事の中で触れているので隅々まで読んでもらえるとうれしいな」
武「ですね。リサーチ中はもうナポリタンなんて見たくないと思っていたのに3日もすると食べたくなるんです。甘くてキュートで喫茶店でも洋食屋でも、なんなら居酒屋でも、いろんな場所で寄り添ってくれるこの小悪魔に、僕は首っ丈になってしまったのかもしれません」
撮影/鵜澤昭彦(ラドリオ、La cour cafe、フェブラリーキッチン)、浅沼ノア(伯爵邸)、文/菜々山いく子
※2024年6月号発売時点の情報です。
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