2024年5月9日に先行公開されたホンダフリードが、2024年6月28日に発売となった。そこで気になるのは、ライバルであるトヨタシエンタと比べた際に、どちらがお買い得になるのかだ。どちらにも2列シートと3列シートが用意され、エンジンもガソリンとハイブリッドがある。これは迷うぞ!!

2024年5月9日に先行公開されたホンダフリードが、2024年6月28日に発売となった。そこで気になるのは、ライバルであるトヨタシエンタと比べた際に、どちらがお買い得になるのかだ。どちらにも2列シートと3列シートが用意され、エンジンもガソリンとハイブリッドがある。これは迷うぞ!!

ステップワゴンに近い性格を備えるフリード

新型ホンダフリード

新型フリードは、動力性能、走行安定性、乗り心地、安全装備などを進化させたが、車両の広さや基本的な性格は従来型から踏襲されている。つまりコンパクトミニバンだが、ステップワゴンなどのミドルサイズに近い性格を備える。

トヨタシエンタ

ライバル車のシエンタと比べた場合も、デザインや機能のミニバンらしさを重視するならフリード、コンパクトカーのように手軽に運転できる使い勝手の良さを大切にするならシエンタを推奨したい。

フリードとシエンタは両社とも2列シートと3列シートをラインナップする

ホンダフリード6人乗りのシートレイアウト

具体的には、フリードとシエンタでは、車内の造りが異なる。フリードの2列目には、人気の高いセパレートタイプのキャプテンシートが用意されるが、シエンタには6人乗りがない。2列目がベンチシートの7人乗りだけだ。

ミニバンならではの2列目キャプテンシートが欲しい場合、必然的にフリードになる。そしてフリードでも、2列目シートをベンチタイプにした7人乗りも選べる。

荷室とシートアレンジも異なる。フリードの3列目は、左右に跳ね上げて格納するから操作性が良い。その代わり格納された3列目が荷室側へ張り出す。シエンタは、3列目を2列目の下に格納するから、3列目が荷室側へ張り出さない。その半面、格納時には2/3列目シートの両方を動かすから少々面倒だ。

つまり頻繁にシートアレンジを変更するなら、操作性の優れたフリードが適する。通常は3列目を格納して荷室の広いコンパクトカーとして使い、稀に3列目を引き出して多人数で乗車するならシエンタが向いている。

トヨタシエンタは2列目がベンチシートの7人乗りとなっている

両車ともに、3列目を省いた2列シートの5人乗りも用意する。5人乗りではフリードに注目したい。フリードの5人乗りは、車椅子に座った状態で乗車できるタイプと同じボディを使うから、車内後部の床が低い。路面から荷室床面までの高さは335mmに収まる。フリードの3列シート車は480mmで、これも低い部類だが、2列シートはさらに下がるのだ。

フリードの5人乗りは、タップリした室内高を生かして、荷室を上下2段に分けて使える。後席の背もたれを前側に倒すと、荷室の上段と繋がって広い平らな空間に変更され、車中泊にも使いやすい。この時には下段が大容量のアンダーボックスになるから、就寝中の荷物の整理にも役立つ。従って車中泊を楽しむなら、フリードクロスターの5人乗りがベストだ。

オススメはハイブリッドそれともガソリンか?

ホンダフリードのe:HEV 1.5L アトキンソンサイクル DOHC i-VTEC エンジン

パワーユニットは、両車ともノーマルガソリンエンジンとハイブリッドを用意する。ハイブリッドは燃費性能が優れるだけでなく、動力性能や静粛性も向上させて、ノーマルエンジンと比べた時の価格上昇は35万円前後に収まる。

予算に余裕があるならハイブリッドを選びたい。最も買い得なグレードは、フリードはe:HEVエアーEX(304万7000円/6人乗り)で、シエンタはハイブリッドZ(303万6600円/7人乗り)だ。両車は競争の激しいライバル車同士だから、価格も接近している。

文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。

写真/トヨタ、ホンダ