トイレを詰まらせてしまったら犯罪…って本当?

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 外出先で、店舗、施設のトイレを使うことはよくあるもの。そのとき、トイレを詰まらせてしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。しかし実は、トイレを詰まらせたり、黙ってその場を立ち去ったりすることは「法律違反」に該当するようです。これは本当なのでしょうか。利用したトイレを詰まらせた際の法的問題について、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

器物損壊罪に該当する可能性

Q.利用店舗や施設のトイレを詰まらせる行為は、犯罪に該当するのでしょうか。

牧野さん「故意にトイレを詰まらせる行為は、『故意に他人の所有物を壊す』、もしくは『使えない状態にする』行為となるので、器物損壊罪(刑法第261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金)に該当する可能性があります」

Q.「不注意でトイレを詰まらせた場合」「わざとトイレを詰まらせた場合」「詰まらせた後に黙って立ち去った場合」とで、罰則はどう変わりますか。

牧野さん「不注意(過失)により、トイレに流せない異物を流して詰まらせてしまった場合、過失の器物損壊罪は規定されていないため不可罰ですが、民事上の過失の不法行為(民法709条)により、発生した損害を賠償する責任が生じます。

故意にトイレを詰まらせた場合にも、民事上の故意の不法行為(民法709条)により、発生した損害を賠償する責任が生じます。

詰まらせた後に黙って立ち去った場合、不注意(過失)で詰まらせたケースでは、民事上の過失の不法行為(民法709条)により、発生した損害を賠償する責任が生じます。一方、普通に不注意(過失)なく使用していてトイレを詰まらせたケースでは、黙って立ち去ったとしても、民事・刑事いずれの責任も発生しません。

なお、これらの法的責任の有無は、公衆トイレの場合でも同様に該当します」

Q.外出先でのトイレ利用に際し、法的問題に発展しないために意識するべきこととは。

牧野さん「まずは、不法行為(民法709条)の過失責任を負わないように、トイレに流せない異物を流してしまうことのないよう、注意して使用すべきです。また、落ち度がなく普通の使用方法であったにもかかわらず、トイレが詰まってしまった場合には、先述の通り民事・刑事いずれの法的責任も発生しませんが、次に使用する人のためにも、そして最低限のマナーとしても、管理者に連絡するべきでしょう」