「上手な気遣い」とは?ティモンディ前田裕太が目の当たりにした2人の大スターの“思いやり”
「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎第28回の今回は、公共交通機関で「スマートに席を譲る方法」を探している、という方からのお便りです。
[今回のお悩み]
「公共交通機関で、スマートに席を譲る方法はありませんか?」
公共交通機関での、上手な席の譲り方ってあるでしょうか。
以前バスに乗っていたとき、わたしが座っていた席の横にご年配の男性がいらしたので、席を譲ろうと思い停車中に「よろしければどうぞ」と声をかけました。
すると予想外のことだったからか、男性が「おわっ」とびっくりして腰を抜かして?尻もちをついてしまいました。
わたしも周りの乗客も驚いて男性を起こそうとしましたがその間にバスは発車して、バランスを崩しながら男性は立ち上がりました。
結局「大丈夫です」と言われ、わたしは席に座り続けましたが、「変なタイミングで話しかけてお年寄りを転ばせた女」みたいに周囲から思われているのでは、とその後ずっといたたまれない思いでいました。
それからというもの、公共交通機関で誰かに席を譲るのに、より勇気がいるようになってしまいました。
今では、席を譲るべき状況になるのを避けるため、よほど空いているとき以外は席に座らないようにしています。
それでもそういう状況になったときは、何度か様子を伺い、頭の中でシミュレーションをし、決死の覚悟で話しかけ、譲ったあとは違う車両に行きます(電車の場合)。
もっと素早くスマートに席を譲れるようになりたいです。
(20代・会社員・女性)
一生忘れられない大スターの気配り
気遣いが上手な人って素敵ですよね。
私なんて自分のことで一杯一杯。他者にまで気が回る余裕のある人間ってのは立派だと思う。
相談者の方も、気配りをしている時点でとても偉大なことをしていると思います。
品性は行動に宿るもの。私も品があって誰かのことを思いやれる余裕のある大人になりたいと思う。
中居正広さんの番組に呼んでいただけた時に、豪華な叙々苑の焼肉弁当を差し入れでいただいたことがあった。
番組の予算で、ゲストに対してお弁当を用意するのが一般的な中、少しでも良いものを、という気遣いなのでしょう。わざわざ自分のポケットマネーで差し入れをしていたのだ。
ここまで他の共演者やゲストの人への気遣いができるなんて、凄い方だなあ、と憧れる。そりゃ数多の番組をやってきた人、ビッグスターだなあと思った。
今の自分が番組を持ったとして、そこまで気配りができるだろうか。
中居さんのように色々な面で他者に対してそこまで気が回る人になりたいなと思う。
叙々苑は今の私には到底無理だけど。
坂上忍さんの番組に呼んでいただいた時も、カメラが回っていない時に「前田君もタバコ吸うでしょ?俺のあげるよ」とアメスピをいただいた。
私は今年で芸歴が10年目。坂上さんからしてみれば、芸歴が40年以上も下の若手芸人に、その一言をサラッと言えるのが、本当に凄いなと感じる。
確かに私は喫煙者なのだが、「僕もタバコ吸うんですよ」だなんて一言も発していないのに。
こうやってしてもらったことは、私は一生忘れることはない。
この仕事とか関係なく、私もそんな誰かに思いやりのある行動をしたい、あんな人になりたい、こうありたいなあ、と常々感じる。私自身の理想の姿の1つですね。
大切なのは「誰かのために何かをした」という事実
相談者の方も、誰かに思いやりのある行動をしたという事実を、もっと胸を張って思うべきだと思います。相手がどんな反応をしたとしても、行動をした事実は変わらない訳ですから。
気遣いに正解なんてないんです。どうすべきだったのか誰にも分からない。それは、あくまでも受け手の気持ちの話ですからね。
だから、自分の良いと思うことをやるしかない。上手くいかなかったと自分で思ってしまっては勿体無い。
見返りを求めない誰かへの行動は何よりも尊いものだと思うから。
強いて言うのであれば、いきなり声をかけて驚かれたのであれば「あの、すみません」と小さい声で気づかれるように声をかけたりすると、驚かれるという要因は少なくなるかもしれません。
おっしゃるように、最初から立っている、という選択もあるかもしれません。
でも、大切なのは誰かのために何かをした、という事実。相談者の方が誰かのために行動をしたとことは、誰にも変えられない。
これからも、後ろめたさを感じずに、自信を持って、席を譲ることに限らず、素敵な気遣いをしてあげられたら良いですね。
公共交通機関で巻き起こる“論争”〜担当編集者からのひとこと〜
数年前になりますが、高齢の祖母を連れて電車に乗ったところ満席だったので、しばらく2人で優先席の前に立ってみたのですが席を譲ってくれる人は現れず、結局、座っている人に声をかけたことがあります。
優先席に座る理由は、ぱっと見ではわからないことも多いですから、「もし可能な方がいらっしゃれば……」といった具合に、嫌味ともとれる言い方になってしまったのですが、すぐに座っていた全員が「あ、大丈夫です、どうぞ」と言って席を立ってくれました。
ありがたいと思いつつ、「そちら側から譲ってくれれば、あんな嫌な言い方をしなくてもよかったのに……」と、悲しくもなりました。
公共交通機関には、「優先席に座る・座らない」の他にも、様々な“論争”があると思いますが、最近だと、混雑した車内で、頑なにスマホをいじるのをやめない人が気になります。
本人は周囲に迷惑をかけない範囲で操作しているつもりなのでしょうが、「前のお兄さん、狭い空間でスマホを見るために、首を後ろに傾けていることで、あなたの後頭部が、ずっと私のおでこに当たってるんですよねぇ」とか、「後ろのお姉さん、何か文字を入力しているのでしょう、私の首にずっと小刻みにスマホが当たっていて、地味にくすぐったいんですよねぇ」などと、心の中でぶちぶち言う日々です。
私が短気なのでしょうか……。
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。