コスタコーヒーのモーニングセット(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第80回となる今回、訪れたのは「コスタコーヒー」です。

ファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼き肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップ。飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル、それが朝メニュー、いわゆる「モーニング」ってやつです。

今回は、モーニングの定番カフェチェーンに彗星の如く現れた、「コカ・コーラ社」の新ブランド「コスタコーヒー(COSTA COFFEE)」のモーニングメニューをご紹介します。

20年代に日本上陸、コカ・コーラの新コーヒーブランド


コスタコーヒーは、コカ・コーラ社の新コーヒーブランドで、従来のジョージアとは別基軸(筆者撮影)

モーニングを紹介する前に、まずは「コスタコーヒー」を簡単に説明させてください。

【画像】メニューはどれも税込680円、ドリンクに、クロワッサン・シナモンロール・ミートポテトパイのどれかを選ぶ…「コスタコーヒー」のモーニングの様子(14枚)

「コスタコーヒー」は、世界40カ国以上に展開する、ヨーロッパ1の店舗数を誇る巨大カフェチェーンです。創業は1971年のロンドン。その後2019年にコカ・コーラ社に売却され、日本では2021年に商品の発売を開始しました。日本では最近見かけるようになった印象ですが、歴史は結構長いんですね。

以前から運営しているコーヒーブランド「ジョージア」よりも、高級なラインのコーヒーブランドとしてお目見えし、コンビニで先行販売されるや否や、売れすぎて供給が間に合わず出荷停止となり、話題となったため、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

カフェチェーンとしては2023年8月にスタートしたばかり。現在の店舗数は7店舗のみながら、渋谷や銀座、日比谷に大手町、吉祥寺など、抜群のロケーションに進出し、規模を拡大中です。


コスタコーヒーは2020年より業務用コーヒー市場にも参入している(筆者撮影)

カフェチェーンを運営する会社は「双日ロイヤルカフェ」。

「双日ロイヤルカフェ? 知らないなぁ」と思われた方、それもそのはず。日本の大手総合商社「双日」と、「ロイヤルホスト」や「シズラー」など高級路線の飲食チェーンを展開する「ロイヤルホールディングス」が、「コスタコーヒー」のカフェ事業を日本で本格展開するために2023年に設立した、できたてほやほやの合弁会社なんです。

つまりはこの「コスタコーヒー」は、日本国内の清涼飲料業界ではシェア1位を誇る「コカ・コーラ社」と日本七大商社の「双日」がタッグを組んでいるということ。なにやらここからシェアが伸びそうな気配がプンプンしています。

コスタコーヒーのモーニングは3種類

「コスタコーヒー」のモーニングメニューは3種類。提供時間は開店時間の朝7時から11時まで。いずれも税込680円で、パンとコーヒーのセットです。


コスタコーヒーのモーニングメニュー3種(筆者撮影)

・クロワッサン&ドリンクセット
・シナモンロール&ドリンクセット
・ミートポテトパイ&ドリンクセット(期間限定)

ドリンクは、ドリップコーヒーもしくはアイスコーヒーのSサイズです。料金を追加することで、サイズアップや、ラテを選ぶこともできますが、紅茶やジュースなどはセットドリンクの対象ではありませんでした。

セカンドウェーブとは異なる華やかで濃厚なコーヒー


ドリップコーヒー。Sサイズとはいえども、コーヒーカップのサイズは大きめでした(筆者撮影)

「スターバックス」は1996年に銀座に日本1号店を出店。1990年代後半にトレンドとなり、その後大ブームを巻き起こし、爆発的に規模を拡大しました。スタバのような深煎りで苦くてコクのあるコーヒーは、セカンドウェーブコーヒーと呼ばれます。

2015年に「ブルーボトルコーヒー」が清澄白河に日本1号店を出店。浅煎りの酸味の強いフルーティーなコーヒーが特徴で、サードウェーブコーヒーのブームの火付け役となりました。


アイスコーヒー。フレッシュとガムシロップを入れても味がしっかりしているのでコーヒーの旨みがしっかりわかりました(筆者撮影)

「コスタコーヒー」は、このどちらでもない感じで、強いて言えばサードウェーブに近いかな? と思いました。飲んでまず感じるのは「濃厚なコーヒーだなぁ」ということ。濃度も濃ければ味も濃い、しっかりとコーヒー豆の風味が残る、華やかさのあるコーヒーです。

ドリップコーヒー、アイスコーヒーともに、苦味も酸味も兼ね備えておりながら、どちらかに大きく味を振ることはなく、均整のとれたしっかりした味わいに仕上がっていました。一口飲むとけっこうガツンとくるので、ゴクゴク飲むというよりはじっくり飲むコーヒーです。

お得感で選ぶとミートポテトパイに軍配


コスタコーヒーのモーニング。ミートポテトパイ&ドリンクセット 680円(筆者撮影)

モーニングセットの価格は3種類一律で税込680円ですが、パンの単品価格は3種類ともバラバラです。クロワッサンは税込380円、シナモンロールは税込440円、ミートポテトパイは税込650円。


コスタコーヒーのモーニング。シナモンロール&ドリンクセット 680円(筆者撮影)

セットのコーヒーSサイズの価格は税込440円なので、クロワッサンなら140円値引き、シナモンロールなら200円値引き、ミートポテトパイなら410円値引きという計算になります。つまりミートポテトパイ&ドリンクセットは、実質30円でコーヒーを飲めているということになり、お得感が際立っています。


コスタコーヒーのモーニング。クロワッサン&ドリンクセット 680円(筆者撮影)

もちろん食べたいものを食べればいいのですが、ケチなタチなので、多分ミートポテトパイがモーニングセットにある限り、こればかり注文してしまいそうです。

コーヒーのお供に。朝食にぴったりのパン揃い踏み

値段についてばかり訴求してしまったので、ここからはモーニングセットのパンのお味についてもレポートしてまいります。


厚みたっぷりのふわふわのクロワッサン。クセがなく食べやすい(筆者撮影)

クロワッサンは大きすぎず小さすぎずのサイズ感ながら、厚みがしっかりあるので食べ応えあり。バターたっぷりのギトギトサクサク食感ではなく、軽やかでふわふわな食感で、優しい味わいでした。

スイーツ系ではなくシンプルなクロワッサンですが甘味は強めで、濃厚なコーヒーとの相性はバッチリです。


大きめサイズのシナモンロール。シナモンの風味とシュガーグレイズドの甘さがたまりません(筆者撮影)

シナモンロールは軽くリベイクされて、ほんのり温かい状態で提供されました。口に含むとシナモンの苦味がきいた大人の味わいが広がります。生地の柔らかさとシュガーグレイズドのシャリシャリ食感とのコントラストも楽しい。


卵黄のツヤが美しいミートポテトパイ。なぜかフォークはプラ製でナイフは木製でした(筆者撮影)

ミートポテトパイはホカホカ熱々で、外はサクッ、中にはミンチがしっかり入っていました。パイの表面は卵黄でピカっと輝き、見た目も美しく、つるりとした舌触りも楽しい。具材はミンチと角切りじゃがいも、ニンジン、タマネギ。具材にはしっかりとろみがあるので、水気でパイがぐずぐずになることもなく、最後の一口までサクサクでした。


ミートポテトパイの断面。朝ごはんにぴったりなおかずパンです(筆者撮影)

3種類のパンそれぞれが違う温度で提供されるあたりに、「コスタコーヒー」の美学みたいなものを感じずにはいられません。

今回筆者が利用したのは、歌舞伎座徒歩3分ほどの東銀座エリアにある店舗です。広い店舗と高い天井、大きく設けられた通路の左右にテーブルが配置され、開放感たっぷりで窮屈さは皆無。

店内は暗めでおちついた雰囲気で、BGMには『タイム・アフター・タイム』や『ビリー・ジーン』など往年の名曲ポップスのボサノバアレンジが小さな音量で流れ、リラックスムードが強調されています。


Lサイズのコーヒーは特大!ドリップコーヒーの価格はSサイズ440円、Mサイズ500円、Lサイズ560円(筆者撮影)

ドリップコーヒー、アイスコーヒーのSサイズが税込440円、カウンター横のショーケースのパンも税込350円から650円。

さまざまな国の言葉が混じり合う店内

スタバやタリーズなどお馴染みのカフェチェーンと比較すると、お高めの価格設定ではあるのですが、店舗の立地や居心地の良さを考えると、決して高いとは思いませんでした。

席数は75席。平日朝8時半時点での利用客は15人ほどでした。年齢層は20代から30代が中心でした。1人客は近隣のオフィスのサラリーマンやOLがメインですが、店の並びにホテルが複数あるため、インバウンドの利用客も多く、日本語、英語、それ以外の言語など、さまざまな国の言葉が混じり合っていました。

店頭や店内のあちこちに、「コカ・コーラ社」のブランドキャラクターである綾瀬はるかさんの笑顔のドアップがプリントされた看板やポップが設置されており、なんとなく世俗的なオーラを発しているため、おしゃれすぎません。ハードルが高すぎなくていい感じです。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)