全国で問題化する「相席ブロック」、不正予約対策打ち出すバス会社も 京王バス、一部路線で決済ポリシー厳格化
2人分を隣り合わせに予約して1人分をブロックする意図で出発直前にキャンセルする「相席ブロック」については、これを止めるよう呼びかけた北海道のバス会社ばかりの問題ではないようだ。
九州急行バス(福岡市)も、相席ブロックを確認していると公式Xで明かし、きちんと予約をするよう呼びかけた。京王バスでは、相席ブロックのデータはないとしながらも、予約後も未決済のまま客が来ないことなどが散見されるとして、一部路線について決済期限などの改定に踏み切った。
「予約テロ」に悩む九州急行バス「きちんと予約をしてお金を払って」
九州急行バスは、福岡〜長崎の高速バス「九州号」を走らせており、2024年6月7日にXで、北海道の沿岸バスの投稿を引用して、九州号でも相席ブロックがあると明かした。
投稿では、複数便の大量予約があるとして、「予約テロ」だとし、この他にも、不正決済や予約のみで乗らない行為などを複数確認しているという。同社では、「直接バス停へ出向き警告や確認連絡など厳しい対応を余儀なくされております お願いなのできちんと予約をしてお金を払ってください」と訴えている。
相席ブロックに見られる予約問題は、他のバス会社も悩ませている。
京王バスと富士急が共同運行する高速バス「新宿〜富士五湖線」について、バスを運営する京王電鉄バス(東京都府中市)は5月31日、予約後も未決済のまま客が来ないことなどがあるとして、決済期限などの改定を7月1日の予約から適用すると発表した。そこでは、次のように説明した。
「一部においてご予約のみで未決済の状態でお客様がお越しにならず運行開始後も空席で推移すること、ご利用予定をはるかに超える数を多重に押さえ、当日ないしは直前でキャンセルとなることなどにより、他のお客様の乗車お申し出をお断りせざるをえない状況が散見されています。そのため、より多くのお客様に確実にご利用いただけることを目的に、2024年7月1日乗車日分から『乗車券の決済(購入)期限』『払戻し手数料』にかかるキャンセルポリシーを改定させていただきます」
払い戻し手数料も大幅引き上げ
具体的には、未決済の場合について、電話予約のときは、これまでは自動キャンセルがなかったが、7月1日からは、「予約日を含む3日以内、または乗車3日前までに決済しない場合自動キャンセルとなります。乗車日2日前以降は電話予約の受付はお受けできません」とした。また、WEB予約のときは、自動キャンセルまでの期日や決済期限を厳しくした。
払い戻し手数料についても、乗車2日前〜当日が100円だったのを、前日と当日は運賃の50%に設定した。
京王電鉄バスの管理部は6月11日、J-CASTニュースの取材にメールで回答し、「『相席ブロック』状況については、データを取っておりません」としながらも、こうした改定を行ったことについて、「より多くのお客様に乗車機会を提供することといたしました」と説明した。「現段階では、他の路線に適用することはございません」という。
相席ブロックが行われる理由について、X上では、「これ、女性一人旅の痴漢よけじゃないの?」「相席で不快な思いしたことがあるからするというのが多そう」といった推測も出ていた。
管理部では、「お客様のご都合による事情は把握いたしかねます」と答えたうえで、次のように説明した。
「女性のお客様をはじめとした痴漢など迷惑行為は当社車内ではこれまでございませんでしたが、安全運行カメラも設置するなど対策を実施しておりますので、よりよい乗車環境にとなるよう引き続き努力してまいります。なお、当社バスは一部の路線・車両に『女性専用席』、長距離路線の一部に所定の料金をお支払いいただき2席を独り占めでき、より快適にご乗車いただけるよう『ひとりだけシート』の設定がございます」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)