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●JTから販売されている冷凍食品が売れるワケを中の人に聞いてみた。

『JT』の名で知られる『日本たばこ産業』。言わずもがなのたばこメーカーですが、「実はたばこだけでなく冷凍食品の製造販売をしており、しかも、年間収益1297億円で業界シェアで上位に君臨する」という聞き捨てならぬ噂を耳にしました。

「たばこ」と「冷凍食品」……どうもイメージが結びつきませんよね。公式サイトを調べてみたところ、『日本たばこ産業(JT)』では、たばこの製造販売だけでなく、「加工食品事業」という部門があります。

 さらによく調べたところ、その傘下に『テーブルマーク』ほか複数の加工食品メーカーがあることがわかりました。テーブルマークといえば、旧社名は株式会社加ト吉。昭和世代には馴染み深い「かときっちゃん、かときっちゃん♪」のCMソングで知られる歴史あるメーカーです。

 その加ト吉が2008年にJTの完全子会社となり、2010年には現在の社名となって、以降グループ全体の収益に貢献していたわけです。テーブルマークがJTの完全子会社となって16年。その主力商品と、製造への思いを同社担当者に話を聞いてきました。

『テーブルマーク』の人気商品3品の魅力に迫る

『テーブルマーク(JT子会社)』の冷凍食品。上から時計回りに「さぬきうどん5食」「とり天 のり塩味」「焼めし600g」

『テーブルマーク』担当者によれば、「さぬきうどん」は同社商品の中でも特に代表的なものだと言います。

「『さぬきうどん』は、今年で発売から50周年を迎える冷凍うどんの代表的な商品で、年間製造食数は6億食になります。また、『焼きめし600g』は、しょうゆベースのあっさりとした味わいで、出汁の旨みをより感じられるよう仕上げています。さらに、24年春新 商品の『とり天のり塩味』は、国産若鳥のむね肉を磯辺衣で彩り良くカラッと揚げた商品で、お弁当の一品としてはもちろん、家飲みのおつまみとしても人気ある商品です」(担当者)

50周年を迎える「さぬきうどん」。ツルモチの食感が美味

 さっそくそれぞれをいただいてみることに。まず「さぬきうどん」。さすがロングセラーの味わいで、喉越しが良くツルツル&モチモチです。聞けば、うどん職人が手打ちで作る工程をそのまま機械で再現、製造しているそうです。煮込みうどんや鍋のシメなどにも良さそうにも思いました。

家庭的な味が楽しめる「焼めし600g」

「焼めし600g」は、どこか懐かしく感じる家庭的でほっこりした味わい。チャーハンではなく焼き飯という商品名がドンピシャ。チャーシュー、人参、玉ねぎ、ねぎ、かまぼこ、炒り卵と6種もの具材がザクザク入っているのも魅力で、老若男女誰にでも愛される味だと思いました。

冷凍でもサクッとした食感を実現した「とり天 のり塩味」

 そして、「とり天 のり塩味」は、担当者の話にもある通り「ちょっとした一品」に最適の味で、香り高い磯風味の衣に対し、中のむね肉は柔らかくクセになります。天ぷら系の総菜はレンジで温めると衣がベチャッとしがちですが、同商品はサクッとした仕上がり。この点も好印象を抱きました。

斬新な商品や新しい取り組みが反映された冷凍食品も

(写真左)左から「まるぐ焼きあご塩ラーメン」「海鮮チヂミ」「ここCafe紅茶スコーン」。(写真右)「BEYOND FREE」商品群。左から「玄米ブレッド ・プレーン」「おからこんにゃくで作ったからあげ」「豆乳クリームロールケーキ プレーン」

 紹介した3商品の他にも、新商品として「たかはし監修まるぐ焼あご塩ラーメン」「海鮮チヂミ」「紅茶スコーン」など、独自の技術を反映した商品が複数ラインナップ。さらに近年では「BEYOND FREE(ビヨンドフリー)」という卵や乳・肉類などの成分をカットした冷凍ミールなど新しい試みに挑戦しているとのこと。その商品は実に多彩で、冒頭でも触れた驚愕の年間売り上げも納得できました。

まとめ

 今回、「JTが製造販売する冷凍食品」という噂を耳にし、深掘りしたわけですが、実際は長年培われた技術と開発力をもった傘下の『テーブルマーク』が、『日本たばこ産業(JT)』の加工食品部門を担っており、絶大な売り上げを出している、というのが正しい事実でした。

 最後に改めてテーブルマークの担当者に話を聞きました。

「前述の通り、看板商品『冷凍うどん』が今年で50周年を迎えました。発売当初は香川県の名物・さぬきうどんの美味しさを全国にお届けしたいという想いで、弊社としては前例がない『冷凍うどん』という新しいジャンルに挑戦した商品でした。一時、販売中止に追い込まれたこともあるのですが、諦めることなく挑戦を続けた結果、今日のご支持に繋がりました。こういった経験を改めて自負し、これからもさまざまな商品を開発し、お届けできればと思っています」(担当者)

 古くから愛されるロングセラー品から、現代の悩みを解決する新商品まで。幅広い年代から人気の『テーブルマーク』商品は情熱が込められたものばかりでした。JTの加工食品部門『テーブルマーク』の今後の新商品や取り組みに注目していきたいところです。

(取材・文◎もっち、松田義人(deco))