半導体大手のIntelはドイツのザクセン=アンハルト州の州都であるマクデブルクで、半導体製造拠点の「最先端半導体ファブメガサイト」を建設中です。この最先端半導体ファブメガサイトの建設予定地で、新石器時代の墳墓などを発見しました。

Burial mounds and a chariot grave. Archaeologists discover a Neolithic burial landscape on the Eulenberg near Magdeburg

https://idw-online.de/de/news830373?ftag=YHF4eb9d17



Intel's Germany chip fab site yields discovery of 6,000-year-old burial mounds - no word yet about potential construction delays | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/intels-germany-chip-fab-site-yields-discovery-of-6000-year-old-burial-mounds-no-word-yet-about-potential-construction-delays

2024年3月15日、ドイツ語圏の科学機関からの学術情報をまとめるInformationsdienst Wissenschaft上で、ザクセン=アンハルト州遺産管理考古学局(LDA)の考古学者が「Intelの最先端半導体ファブメガサイト建設予定地で新石器時代の墳墓を発見した」と発表しました。

発見されたのは木製の埋葬室を含む約6000年前の2つの墳墓で、それぞれで数人の埋葬者が発見されています。この墳墓は200メートルほど離れた場所で発見されており、景観から「明らかに新石器時代の人々に長い間重要とされてきたもの」と研究チームは指摘しています。2つの墳墓の間にある回廊には牛が生贄に捧げられており、人々を埋葬するための場所として使われていたようです。

Intelの最先端半導体ファブメガサイト建設予定地では、2023年からLDAの考古学者が地質調査を行っており、2つの半導体工場の建設が始まる数カ月前のタイミングである2024年4月に、LDAの調査は完了する予定となっています。



LDAはマクデブルクにある300ヘクタールの土地の調査を進めており、その中にIntelの最先端半導体ファブメガサイトの建設予定地があるそうです。この調査エリアにはオイレンベルクとして知られる小さな丘が存在しており、この土地は肥沃な黄土と黒土で形成されています。この土地は新石器時代の初期にすでに人々が定住する重要な場所となっており、LDAの調査により「長い間埋葬と儀式が行われてきた場所」であると特定されました。

研究チームによると、発見された墳墓は新石器時代中期の紀元前4100〜3600年頃に作られたもので、ここで長さ20メートルと30メートルの2つの大きな台形の木製埋葬室が発見されています。この埋葬室は200メートルほど離れた位置に配置されており、どちらも大量の土で覆われていました。そのため、研究チームは「恐らくこの土地では墓が風景の大半を占めていたのでしょう」と指摘しています。

2つの埋葬室の間に存在する回廊は、埋葬室が建設された約1000年後に作られた球状アンフォラ文化時代のものであることが特定されています。この回廊に沿って2〜3歳の若い牛のつがいが生贄にささげられており、ある墓の前では牛の生贄が荷車を引くように置かれていたそうです。

この他、墳墓の近くでは直径約10メートルほどのひも付き陶器文化の墳墓(紀元前2800〜2050年頃)も発見されています。オイレンベルクで発見された一連のものは一貫性のある驚きのあるものであり、今回の発見をさらに分析していくことでさらなる興味深い洞察が得られると語りました。