コレステロールは、高すぎても低すぎても健康に悪い
脂質異常症は、主に血中のコレステロール値と中性脂肪値が、正常値より高いことをいいます。脂質異常症は、高血圧・糖尿病とともに生活習慣病の一つに数えられています。
生活習慣病を長く放置すると、動脈硬化が進行して、脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞などの心臓血管障害を引き起こし、寿命を縮めてしまいます。
しかし50歳前後に生理がなくなり閉経すると、健康な女性のコレステロール値が上昇してきます。なぜかというと卵巣機能が低下して女性ホルモン生成が衰えるので、女性ホルモンの原料であるコレステロールが余ってしまうからです。
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コレステロールの低すぎも良くない
性ホルモンの生成のメインルートは、コレステロール⇒DEHA(弱男性ホルモン)⇒テストステロン(強男性ホルモン)⇒エストラジオール(強女性ホルモン)です。ですから閉経女性の高コレステロール血症は、自然な現象であると言えます。しかし老化や加齢も自然現象ですが、抗老化や抗加齢の努力は人間が元気で楽しく生きることには多少は必要であるのと同様に、脂質異常症の管理もある程度は必要です。しかし過剰なコレステロール低下も健康によくありません。血中のコレステロール値が低すぎると、性ホルモンの原料不足になりますので、老化を早めます。
コレステロールの中には、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールと、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールがあります。他に高血圧や心臓病、糖尿病、高尿酸血症、腎機能障害などの合併症がない中高年の女性の場合は、LDLコレストロールが140〜170mg/dlくらいならば、まずは食事療法と運動療法を行いましょう。170mg〜200mg/dlくらいの場合はコレステロールの吸収を抑える薬を試してみましょう。
しかし200mg/dl以上ならば、寿命を伸ばすためにコレステロールの代謝を抑える薬を飲んだほうがよいでしょう。
対策
まず脂質異常症の原因は肥満ですので、肥満予防は大切です。肥満予防には運動が大切です。
●20〜30分の脈拍があがる運動(ジョギングとかエアルビクス)
●筋肉トレーニング(スクワットやランジ、腹筋トレーニング)
●上半身の体幹トレーニング(腕立て伏せやプランクなど)
これを週2〜3回を目安に行いましょう。
脂質異常症に関しては、コレステロールが高い場合と中性脂肪が高い場合があります。どちらの管理にも食事療法は大切です。中性脂肪が高い人は甘いものやご飯、パン、パスタなどの炭水化物の食べ過ぎ傾向がありますので、控えるようにします。
一方コレステロールが高い人は、まずは飽和脂肪酸の多い肉の脂身、ひき肉、鳥皮、バター、ラード、ヤシ油、生クリーム、洋菓子などを控えましょう。コレステロールの多い食品であるレバーやモツ、卵に関しては、食べ過ぎに注意しましょう。そして食物繊維の多い食品(玄米、雑穀、麦飯、納豆、野菜、海藻、きのこなど)や多価脂肪酸の多い青魚や大豆を積極的に摂取しましょう。
[文:フェムゾーンラボ]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
神奈川県横浜市出身の医師。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本透析療法学会専門医、博士、経営学修士。女性医療クリニック・LUNAグループの理事長、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学客員教授を務める。