Image: Kyle Barr - Gizmodo US

変わった形だけど意外とイイ!ってパターン…じゃなかった。

SONY(ソニーPlayStation専用ヘッドセット、Pulse Eliteの発売に先行し、米GizmodoのKyle Barr記者がしばらく使ってレビューしてます。他の部分はいろいろ好印象なのに、Barr記者の場合は装着感にかなり難があったようです。個人差がある部分かとは思いますが、PS5ゲーマーの方はぜひ以下、ご参考までに!

PlayStation Pulse Elite(以下Pulse Elite)、良いところも多くてポテンシャルは感じるのですが、着け心地が悪すぎました。

Pulse EliteはBluetoothでPlayStation 5はもちろん、PCにもスマホにもつながります。PCでも音はきれいですが、PS5だとさらに最高です。ただ頭と耳への圧迫感がすごすぎて、動き回っててもじっとしてても、常に落ち着かないんです。

SONY PlayStation Pulse Elite

好きなところ:PCでも良音だし、PS5ではさらに素晴らしい音質。伸縮するマイクはノイキャン性能も良し。便利な壁掛け式充電マウントが同梱。

好きじゃないところ:ものすごくきつくてフィット感調整もできない。動きながら使うと足音が響いて気持ち悪い。

Pulse Eliteを着けてると、吸盤みたいなイヤーパッドから自分の鼓動が聞こえます。あまりにきつすぎて、脳に行く血流の音も拾っちゃってるようです。感覚を鈍らせる特殊なタンクに潜って、異次元にワープさせられるような奇妙な感じです。外した後にも吸着感が残るほどです。

我々はこのレビュー機をローンチ前に受け取り、近々にソフトウェアアップデートを受け取ることになっていました。でも、Pulse Eliteの問題はソフトウェアじゃないので、アップデートされても影響ありません。Pulse Eliteはイヤーパッドとスピーカーの間に大きな隙間があって、積極的に音を聞いてるとき以外は外したくなります。

Pulse Eliteはマーケティングから色や形、デザインまで、PS5のためのヘッドセットであることは明らかですが、PCやスマホにBluetoothでつないでも大丈夫です。ただPS5なら、ソニー独自のLink USBアダプターを使って空間オーディオをフルに楽しめます。音質だけなら、Pulse Eliteは素晴らしいです。Linkへのワイヤレス接続はとてもシームレスだし、音漏れの心配もないです。

でも、Pulse Eliteに150ドル(ソニーストアでの価格:1万8981円)出すなら、僕はミッドレンジ以下でもいいから、フィットを調節できるものを選びます。Pulse Eliteは、PlayStation Portalもそうですが、ソニーによくあるポテンシャルが高いのにデザインに力が入りすぎたプロダクトだと思います。伸縮するマイクや壁掛け充電マウントといったディテールもすごく好きなんですが…。

着け心地はとにかくつらい

Image: Kyle Barr - Gizmodo US

プレミアムヘッドホンなのに、耳を守るためにしょっちゅう外さなきゃいけないなんて、僕にはPulse Eliteが初めてかもしれません。音が出てないときは、その空白を埋めるように血流が耳に集まってきて、頭が両側から絞られるような感じがします。

Pulse Eliteの変わった外見は、装着してもマシにはならないし、調整できる部分はマイクの伸縮しかありません。頭に触れるストラップ部分はきつすぎないのに、うまく固定できるものだとは思います。ただ、数時間着けたり外したりしながら使っていると、頭痛がしてきました。

最初に着けたときは、「あ、ちょっときついかな」程度でした。そこからPulse Eliteは(感覚としては)縮み続けて、脳に流れる血の音が聞こえるんです。歩いてると、足音が耳に反響してきます。この感覚はゲームの音や音楽を聞いてるときにはそんなに悪くないんですが、音が出てないときだと耳が圧迫されそうです。

ゲームとか作業に没頭していれば、耳の不快感はそこまで気にならないんですが、ヘッドセットを着けてる感覚を忘れることはないです。

アイデアの効いたデザイン

壁掛け式充電ユニットと伸縮できるマイクは良いです
Image: Kyle Barr - Gizmodo US

Pulse Eliteは変わったデザインかもしれませんが、いくつかスマートな部分もあります。まずマイクが左サイドのアームから出たり入ったりできます。マイクの位置は自分の口の前にしなくても、完全に伸ばした位置でも相手にはちゃんと聞こえてました。マイクを伸ばしっぱなしでも大丈夫そうですが、持ち運びのときは格納しとくとスッキリです。

音のレイテンシーはほとんどないし、周りがガヤガヤしてても、AIによるノイズリジェクションで自分の声だけが相手に届きます。

ポート系は充電用のUSB-Cポートと、3.5mmオーディオジャックがあり、右アームには音量スイッチと電源/接続ボタンがあります。またBluetoothとLinkを同時に接続でき、別の音源の音を同時に聞けます。Link USBアダプターは、PS5でもPCでもちゃんと使えます。PS5で使うにはアップデートが必要ですが、PCで使うときはシームレスです。

他のヘッドセットも、デバイスによってドングルを変えなきゃいけない問題に対応してきました。たとえば380ドル(日本価格:3万3660円)のAstro A50Xは、ベースステーションですべてのデバイスにつながります。これも機能したんですが、ベースステーション用のケーブルがさらに増えることになりました。Pulse Eliteは、BluetoothとLinkの同時接続ができることで、複数デバイスのヘッドセットという位置づけでも有効かもしれません。

個人的には、このLinkアダプターに2.1ヘッドを保護するケースなりキャップがあればと思います。あとUSB-A以外の規格も使えるといいのではないかなと。最初のバージョンのPS5には前面にUSB-Aポートが1つありますが、新しいスリムな方のPS5の前面にはUSB-Cしかなく、USB-Aは裏側で、アダプターを挿しにくいです。挿しっぱなしにしてもいいんですが、そうするとPC等で使うためのLinkアダプターを別途買わなきゃいけないです。

もう1つ良いアイデアなのは、同梱の壁掛け式充電ユニットです。壁か棚か何かに穴を空けて設置しなきゃいけませんが、これがあればゲームの合間にヘッドセットをかけるだけで充電できます。今までのPlayStationハードウェアともデザイン的に合ってます。

Pulse Eliteはフル充電で30時間持つとされてます。僕は数日続けて使い、そのうち数時間のゲームが2回ありましたが、充電する必要には迫られませんでした。でも、もしゲーム中に充電が必要になったら、ポートがヘッドセットの前面なのでうっとうしい感じです。それでもバッテリーが優秀なので、これくらいの問題はわざわざ文句を言う必要もないくらいです。

PS5で音質の真価を発揮

Image: Kyle Barr - Gizmodo US

僕がPulse Eliteを装着して心地よく過ごせる唯一の方法は、何らかの音が流れているときでした。幸いPulse Eliteは、音質に関してまったく問題ありません。そしてソニーが推す平面磁気ドライバーの3Dオーディオを最大限活かすには、PS5につなげて使う必要があります。

でも、PCやBluetoothで聞いてるときもクリアな音で、それでいてやりすぎとかではありません。PCでもLinkアダプターを使うと音が若干良くなりました。でも、Pulse Eliteの真の体験はPS5で、というソニーの意図は明らかです。最初PCで使った後でPS5でも使ってみたんですが、『Mortal Kombat One』が他のヘッドセットで聞くよりもインパクトがあってびっくりしました。

ゲームによっても音の良さに違いがあります。『Mortal Kombat One』は音のデザインがすごく良いのですが、『God of War Ragnarök』はもっとパンチがあってもいいと感じました。そのへんはソフトウェアアップデートで改善できるかもしれませんが、耳が痛くなるハードウェアは改善しようがないんですよね。

この価格ならもっとできるはず

Pulse Elite購入を考える人は多分、PS5をメインでプレイしてる人です。ソニーファンにふさわしいオプションだと言えたらよかったんですが、どうも無理そうです。PlayStation用ヘッドセットがほしいなら、ソニーのInzoneシリーズはもっと安定感があるし、Pulse Exploreイヤホンだってあります。

本当にこのPulse Elite、気に入れたらいいなと思ったんですが、僕はレビューを書き終えた今も残る耳の圧迫感に耐えています。頭にも締めつけ感があるので、口に指を突っ込んで『ルーニー・テューンズ』のキャラクターみたいに頭を膨らませたくなります。自分の体をマンガみたいにしたくなったら、それは危険な兆候です。