井上尚弥の凄みはどこに? 百戦錬磨の名将たちが称える図抜けた技術「彼のパンチは後ろから殴られるようなもの」
タパレスとついに拳を交わす井上。その技術には百戦錬磨の名コーチたちも舌を巻く。(C)Lemino/SECOND CAREER
ついにゴングの瞬間が訪れる。
12月26日に東京・有明アリーナで行われるボクシングの世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦で、WBC&WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)とWBA&IBF同級王者マーロン・タパレスが拳を交える。
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24日に実施された記者会見で「どんな展開になってもしっかり勝ちを手にする試合にしたい」と必勝を誓った井上。勝てば、史上2人目となる2階級での4団体統一を果たすだけに、彼のパフォーマンスには世界の熱視線が注がれている。
国外の識者たちも“大偉業”を目前にする「怪物」には舌を巻く。フランスのスポーツ専門ラジオ局『RMC Sport』の取材に応じた「ブレッドマン」の異名で知られる名トレーナー、スティーブン・エドワーズ氏は「イノウエは小さい階級において、マニー・パッキャオたちと並んで、歴史に残るビッグパンチャーだ」と絶賛。さらに異能さを物語る図抜けた技術力を褒めちぎっている。
「右のフック、左のボディ、左のフックなど、さまざまな種類のパンチで人をノックアウトできる。両腕も問題なく使えて、その一発は打った瞬間にドカンッとくる。彼のパンチはほとんど見えないから、後ろから殴れるようなものだ」
25戦無敗(22KO)という圧倒的な戦績を裏付ける卓越したスキルには、アメリカの名トレーナーも脱帽する。かつて畑山隆則らが師事したルディ・エルナンデス氏は「イノウエはどこに、どのタイミングで打てばいいかを熟知している。実際のところ、それに勝るものはない」と称えた。
「彼は決して無駄なパンチをしない。相手のボクシングに合わせて、適切なタイミングを見つけ、有効な一発を打ち込むんだ。彼はその技術が優れていて、難なくこなしているように見える。見た目はそれほどでもないし、危険でもない。頭脳と肉体を織り交ぜながら、予測不可能な攻撃を繰り出すんだ」
フェルナンデス氏の指摘するように、心技体が揃っていると言える。だからこそ、井上は「怪物」と世界から尊敬を集める領域に達したのだろう。
下馬評では「圧倒的有利」と見られてもいるタパレス戦では、いかなるパフォーマンスを見せつけるか。井上の戦いぶりから目が離せない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]