小鵬汽車の7〜9月期の販売台数は4万台に達した。写真は来店客で賑わう中国の販売店(同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)が、約1年のリストラを経て業績を急回復させている。

同社が11月15日に発表した2023年7〜9月期の決算によれば、同四半期の売上高は85億3000万元(約1775億円)と前年同期比で25%、直前の4〜6月期比で68.5%の大幅増を記録。7〜9月期の車両販売台数は4万台に達し、前年同期比で35.3%、4〜6月期比で72.4%増加した。

業績回復の原動力の1つは販売チャネル改革だ。小鵬汽車は以前は直営店での販売を主力にしていたが、2023年末に直営店と販売代理店のチャネルを統合し、副総裁(副社長に相当)の王桐氏が総合的に指揮する体制に変更。新規の代理店契約を増やすと同時に、販売が振るわない直営店を閉めることで、チャネル全体の販売効率を高めた。

直営店中心の販売戦略を転換

「1月から9月にかけて100店近い販売店を閉鎖したが、10〜12月期には(販売増加に対応するため)新たに100店以上を開店する。2023末時点の販売店の総数は、代理店を中心に500店舗に達する見込みだ」。小鵬汽車の創業者で董事長(会長に相当)を務める何小鵬氏は、決算説明会でそう述べた。

同社は1年前の2022年10月に鳴り物入りで投入した旗艦モデル「G9」が不発に終わり、業績が失速。何氏は直ちにリストラに着手し、上述の販売チャネル改革に加えて、業務コスト低減やサプライチェーンの見直し、社内組織の最適化などを断行した。

「2023年に入ってから、経営戦略、組織、経営陣(の人選)、製品や技術の開発計画などのすべてに大ナタを振るってアップグレードを図った。多岐にわたる改革を同時並行で進めるのは大きなリスクを伴うが、結果として予想を超える成果を実現した」。何氏はそう胸を張った。


小鵬汽車は販売規模の拡大を通じて採算の改善を目指している。写真は広州モーターショーで新型ミニバン「X9」を発表する何小鵬・董事長(同社ウェブサイトより)

とはいえ、小鵬汽車はまだ事業の黒字化を達成してない。7〜9月期の純損益は38億9000万元(約810億円)の赤字で、損失額は前年同期比63.4%も増加した。同社の粗利率は2023年1〜3月期から下がり続けており、4〜6月期にマイナスに転落、7〜9月期は-2.7%とクルマを売れば売るほど赤字が膨らむ状況になっている。

粗利の黒字化が急務

何氏は決算説明会で、10〜12月期は販売をさらに伸ばすと同時に、粗利率を大きく改善したいと意気込みを述べた。10〜12月期の業績予想については、売上高が127億〜136億元(約2643億〜2830億円)、販売台数が5万9500〜6万3500台との見通しを示した。


本記事は「財新」の提供記事です

また中長期的には、さらなる販売拡大のために複数のサブブランドを立ち上げる計画だ。その第1弾となる「MONA(モナ)」からは、2024年7〜9月期にメーカー希望価格15万元(約312万円)クラスの新型車を発売。高度な自動運転技術を搭載したモデルを続々投入するとしている。

(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は11月16日

(財新 Biz&Tech)