6日、ダイエー新社長に就任し、経営再建に向けた課題について語る西見氏(撮影:吉川忠行)

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経営再建中のダイエーは6日、臨時取締役会で樋口泰行社長の後任として、筆頭株主である丸紅の元常務で同社副社長の西見徹氏を新社長に選出し、新経営体制を発足させた。

 西見氏のほか4人が新たに取締役に選任され、取締役9人のうち過半数が丸紅出身者で占められた。丸紅主導の体制で事業再生を加速させる。昨年5月に日本ヒューレット・パッカード社長から抜てきされた樋口氏は顧問に就任、同時期にBMW東京社長から就任した林文子会長は留任したが、社長に経営権限を集中させるためCEO(最高経営責任者)の役割を外れた。

 同日夕、東京都千代田区のアーバンネット大手町で開いた就任記者会見で、西見氏は「ガン細胞を思い切って手術で切り取った。今後は、治癒の速度を高め、健常者にしていく」と強調。「林─樋口体制の下でとられた営業強化策が しっかりと現場に浸透している」とし、経営課題として財務体質の健全化を筆頭に挙げ、「私の役割は、1日も早くダイエーの完全なる再生を成し遂げ、強いダイエーを復活させること」と再生に向けて意欲を示した。林氏は「丸紅からの支援を受け、再建のスピードを加速していきたい」と新体制への期待を語った。

 ダイエー再建のための提携先にスーパー最大手のイオンが最有力候補として一部報道で伝えられたことについては「経営基盤の強化のため方策を練っていくが、今日現在はまだ何も決まっていない」と述べるにとどめた。

 ダイエーは2004年10月、自主再生を断念し、産業再生機構に支援を要請。同年末に支援決定した後、大手商社の丸紅と投資ファンドのアドバンテッジパートナーズが「スポンサー企業」に選ばれ、8月4日には産業再生機構が保有していたダイエー株を丸紅が買い取り、44.6%の筆頭株主になった。一方、林氏とともに05年春から二人三脚で食料品中心の事業体制に向けた経営刷新に取り組んできた樋口氏は、同月末に突然の辞任表明、2年間で3度目の社長交代となった。

 記者会見には、林氏と西見氏の2人が出席。終始緊張したような表情の林氏とは対照的に、隣りの西見氏は時折笑顔を見せ、「若葉マークなので、あまり厳しい質問はしないでほしい」と報道陣に漏らす場面もあった。【了】