日本航空(JAL)は、国際線の旗艦機材となる、エアバスA350-1000型機の客室仕様を発表した。

当初は11月下旬に運航開始を予定していたものの、サプライチェーンの乱れに伴う部品の納入遅れなどが発生したことから、年内にも投入を開始する。東京/羽田〜ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ線のJL6/5便に隔日で投入する。

機内はファーストクラスが6席、ビジネスクラス54席、プレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス155席の計239席仕様。現旗艦機で、置き換えを進めるボーイング777-300ER型機と比べ、ビジネスクラスが5席、エコノミークラスが8席多くなる一方、ファーストクラスが2席、プレミアムエコノミークラスが16席少なくなる。国内線のエアバスA350-900型機やボーイング787-8型機のデザインを意識したインテリアとした。

ファーストクラスは扉付きの個室で、「1-1-1」配列。座席上の収納棚を設けないことで開放感ある空間とした。ソファー、シート&シングルベッド、ダブルベッドの3種類のモードを選択できる。世界初となるヘッドフォン不要のヘッドレスト内蔵スピーカーを導入した。画面サイズは43インチ、座席幅は最大123センチ、ベッド長は最大約203センチ。オットマンの下には荷物を2個収納でき、最大で3人が座れる広い空間となっている。サフラン・シーツGBが製造する。

ビジネスクラスは扉付きの個室で、スタッガードタイプの「1-2-1」配列。座席数を現行よりも多い54席としながらも、前後間隔を十分に確保した。座席上の荷物棚は窓側のみ設置している。ファーストクラス同様にヘッドフォン不要のヘッドレスト内蔵スピーカーを導入した。画面サイズは24インチ、座席幅は最大56センチ、ベッド長は最大約198センチ。ベッド長はこれまでのスカイスイートより約10センチ長い。衣類を収納するワードローブを導入した。サフラン・シーツGBが製造する。

プレミアムエコノミークラスは「2-4-2」配列で、背もたれが倒れないFixedback機構を搭載。大型プライバシーパーティションを設けることでプライバシー性を大きく向上させ、プレミアムエコノミークラスとして世界で初めてリクライニング機能を電動化した。電動レッグレストは水平まで調整でき、あぐらをかくこともできる。画面サイズは16インチ、シートピッチは約107センチ、座席幅は最大約48センチ、サフラン・シーツ・フランスが製造する。

エコノミークラスは「3-3-3」配列で、国内線シートと異なり、リクライニングが約1インチ倒れた状態となっている。画面サイズは13インチ、シートピッチは約84〜86センチ、座席幅は最大約46センチ、レカロが製造する。

機内エンターテインメントは、パナソニック・アビオニクスの最新機内エンターテインメントシステムと機内Wi-Fiを導入する。全クラスに4Kモニターを搭載し、Bluetoothの接続にも対応する。事前にアプリから映画や音楽のお気に入りリストを作成し、機内で簡単に再生できるようにし、視聴履歴や関連作品などのレコメンド機能も充実させる。対応言語数も15言語に拡大する。ライブTVも導入するほか、乗り継ぎ情報や誕生日の乗客へのバースデーメッセージなども表示する。画面拡大や色補正といった視覚サポート機能も設ける。AC電源とUSB-AとUSB-C電源を全席に設け、ファーストクラスとビジネスクラスでは非接触充電にも対応する。

機内サービスでは、ファーストクラスのエアウィーヴマットレスをリニューアルしたほか、ビジネスクラスではベッドパットによる新たな選択肢も用意している。ビジネスクラスに扉付きのワードローブを備えたことから、新たにUCHINOのエアリータッチ素材を採用した機内リラクシングウェアの貸出サービスを開始する。衣類の上から着用後に、着ていた衣服を脱ぐことができるよう、プルオーバー型のローブスタイルとしている。

ヘラルボニーの契約作家のアートをポーチのデザインに採用したアメニティキットや、石油由来プラスチックを使わないJALオリジナル仕様の「水で磨く歯ブラシ”MISOKA”」をエアバスA350-1000型機の就航を記念して期間限定で提供する。USB-CとLightningに対応した充電ケーブルやスマホスタンドも採用した。

機内食は、ファーストクラスとビジネスクラスのヴィーガン・ベジタリアンメニューを、米澤文雄氏が監修しリニューアルする。プレミアムエコノミークラスとエコノミークラスでは、RED U-35の上位入賞シェフとのコラボレーションを継続し、環境に配慮された「未来の食材50」を積極的に取り入れ、食事を楽しみながら心も身体も満たすウェルビーイングな機内食を提供するほか、有料機内食サービスも開始する。

ラウンジでは、羽田空港の国際線ファーストクラスラウンジでは、コーヒーハンドドリップサービスを開始する。さらにコロナ禍で中断していた靴磨きサービスを再開する。

エアバスA350-1000型機は、エアバスA350型機として最長胴の機体。標準的な3クラス構成では350〜410席を配置できる。炭素繊維などの最先端素材を使用することで軽量化し、燃料消費量は競合機より25%少ないという。