LDKのレイアウトをどうするかは、間取り決めの重要なカギ。半年前に平屋の注文住宅を建てた日刊住まいライターは、家族の時間を充実させたいと、29畳の長方形のLDKをプラン。庭に面した長辺部分に窓を広く取り、実際の面積以上に広く明るい印象のLDKを手に入れました。反対の長辺には、扉を3つ設置して室内のアクセスを便利に。デメリットも含めて、間取りの利点を語ります。

家族で過ごすLDKはできるだけ広い間取りに

筆者は、夫と子ども3人(15歳、8歳、5歳)の5人家族です。半年ほど前に都内のマンションから西軽井沢に移住。大手ハウスメーカーで平屋の家を建てました。

家づくりでいちばん重視したのは、家族の時間が豊かになる間取り。個室は狭くなっても、家族で過ごすことの多いLDKは、できるだけ広くとりたいと考えました。

 

上の図面は、設計当初の間取りです。この段階では、LDKがL字型のレイアウトでした。

LDKの面積はちゃんと取れています。しかし、筆者には、家族が思い思いの時間を過ごせる、開放的なLDKには感じられませんでした。赤丸部分の壁があるせいで、窮屈になりそうです。

それに、大きな面積を占める左側(西側)の壁に窓が少ないので、圧迫感があって暗いLDKになっていたと思います。スタディースペースや、暖炉の周りが窮屈で、くつろげそうにありません。

 

上記の問題点を解決して、最終的に決まったのがこの間取り図です。

家の柱が大きく頑丈で、構造のための壁を減らすことのできる、ハウスメーカーの工法のおかげで、29畳の広いLDKが実現できました。

LDKは12×6マス(1マスは90×90cm)の正方形が並んだ、大きな長方形があるイメージの空間です。ちなみにキッチンの端からテレビまでは約10mあります。

とにかく広さを求めた筆者とって、大満足の広さでした。

 

長方形のLDKは大開口の窓をつくりやすい

長方形LDKでは、長辺部分に大きな窓を配置することができました。採光抜群で明るいです。

それだけでなく、外の景色を広く、室内に取り込めて、実際の面積以上の広さを感じることができています。

 

リビングには高断熱のフィックス窓と引き違いの窓を採用。上の写真は2月の昼間のもので、日差しがたっぷり射し込んでいます。おかげで暖かく、寒い地域なのに、冬でも晴れの日は暖房いらずでした。

 

一方、夏はというと…。外にある90cmの軒のおかげで日中は、太陽の光が入ってきません。デッキは太陽に照らされていますが、ギリギリ部屋には入ってきていないことがわかります(写真)。

 

スタディースペースには、庭が眺められるように、横に長い窓を配置。この場所は、窓の面積を絞って、壁面を多くしているので、落ち着きのある雰囲気に。勉強やパソコン作業に集中できています。

長方形の長辺に異なる窓をつけることで、LDKに家族がそれぞれに快適に過ごせる場所ができました。

室内側の長辺からは各部屋にアクセスしやすくなる

長方形のLDK空間の外に面した一辺を長くしたわが家。窓からの明かりが入りやすく、開放的になりました。

上の写真は、その反対側、室内側の長辺の様子です。幅がとれるので、隣接する部屋を多くつくれます。ですから扉をつければ、リビングからいくつもの場所へのアクセスが可能。実際、とても便利だと感じています。

写真のいちばん右の扉は玄関と水回りの動線。真ん中の引き戸の向こうは、ファミリークローゼットにつながっています。そして、いちばん左の扉は、子ども部屋。

この子ども部屋を通って書斎や寝室にも行けるようになっています。

この3つの扉を設けられたことで、LDKとの動線がとてもいい家になりました。

 

間延びしがちな長方形LDKの床は、色を分けてメリハリを

リビング側の床はウォールナットの無垢フローリング選びました。そしてキッチン側はタイル貼りに(リビングの薪ストーブを置いた部分も)。

 

ボヤけた印象にならないようにと、タイルはブラックを選択しました。実際はダークグレーのような色合いでしたが、重くなりすぎず、でもメリハリがつけられて満足しています。

タイルは水や汚れに強いため、料理も食事も床を気にせず使えることが、最大のメリットだと思います。

 

上は床の色を分けていない設計時のパース画像です。全面フローリングなので、少々ボンヤリした印象になっています。

床は簡単に変えられないため、事前にしっかり検討しました。

見えすぎることがデメリットに感じることも

イメージしていたとおり、長方形のLDKは、明るくとても開放的で満足しています。LDKのどこにいても、部屋の様子がよく見えるのもよかったと思っています。

 

子どもたちは、スタディースペースで勉強や宿題。夫は窓辺のベンチに座って、外を眺めてぼーっとする。筆者はキッチンで料理をする。家族それぞれが違うことをしていても、同じ空間にいることを実感できています。

しかし、見えすぎることが、デメリットになっていることも。余計なものも目に入ってしまうのです。

とくに散らかりがちなキッチンやスタディースペースは、悩ましい場所です。

 

デスクトップに、ついついものを置きがちのわが家。片づいていない様子が、LDKのどこにいても目に入るのです。

 

キッチンもリアルな状態だと写真のありさま。

散らかる話とは別ですが、どこからもLDK全体が見えてしまうので、スタディースペースで子どもたちが勉強している間は、テレビをつけられません。

ちょっとニュースでも観ようかなと、気軽につけることすらできず、結構気を使います。

しかし、長方形のLDKにしたことで得られた快適さ、家族それぞれが過ごせる場所のバリエーションの方が大きかったと思っています。