『追突された被害者』にも違反点数は付くの?

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いつ、どこで発生するか分からない交通事故。近年では運転中の”ながらスマホ”などが問題視されており、スマホ操作に気を取られ、停車中のクルマに追突してしまう事故もたびたび発生しています。

相手側にケガを負わせた場合、追突した側は「安全運転義務違反」などに該当し、違反点数が加点され、ゴールド免許は取り消しとなります。

では、追突された側はどうなるのでしょうか。一般的に考えれば、追突された側に非はなく、”免許証の色”にも影響はないように思えます。

今回は、追突事故が発生した場合の違反点数について考えてみます。

物損事故の場合、違反点数は加点されない

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追突事故といっても、「クルマやガードレールが壊れただけ」と「人にケガを負わせてしまった」とでは、扱いが変わってきます。

まず相手が負傷していない「物損事故」の場合。物損事故とは、クルマやガードレール、電柱など”モノ”を対象とした事故を指します。

当て逃げや飲酒運転などの交通違反を犯していた場合を除き、基本的に物損事故では行政処分(違反点数)や刑事処分(刑罰)は科せられません。

つまり、ガードレールや電柱にぶつかるなどの単独事故を起こした場合、違反点数や罰金が科されることはないということ。そのため、免許証の色に影響はなく、ゴールド免許であればそのまま継続されます。

これは「出会い頭の衝突事故」や「追突事故」を起こし、相手側に”ケガがなく”物損事故として処理された場合も同様です。

ただし損壊させたモノへの賠償責任(民事責任)は問われるため、損壊させた物を弁償しなければなりません。

追突による人身事故の場合、違反点数が加点される

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しかし、『クルマに追突して、相手側にケガを負わせた』といったケースは、物損事故ではなく「人身事故」の扱いとなります。

この場合、事故の内容に応じて違反点数が加点され、ゴールド免許の人はブルー免許へと切り替わることになってしまいます。

人身事故(追突事故)の違反点数は、交通違反に対する「基礎点数」と、相手の負傷具合と過失割合で決まる「付加点数」の合計です。

例えば、脇見運転によってクルマに追突し、相手に全治1週間の軽傷を負わせた場合、基礎点数2点(安全運転義務違反)、付加点数3点(治療期間15日未満)となり、合計5点の違反点数が加点されます。

また、追突事故は、基本的に加害者側にのみ過失割合が付きます。なぜなら、前方車両は後方車両から追突されることを想定できず、”回避不可能”だからです。

道路交通法第26条では「車間距離の保持」について定められており、前方車両が急停止しても避けられるよう、十分な車間距離を保たなければなりません。

そのため、後ろから追突された場合、基本的には追突した側に責任があることになり、過失割合は、原則「追突した側:追突された側=100:0」となるのです。

【注意】追突事故の被害者でも、違反点数が加点されることがある

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しかし、例外もあります。場合によっては、追突事故であっても被害者側に過失割合が認められるケースもあるのです。

筆者知り合いの保険会社担当者によれば、「追突事故で被害者側に過失が認められるケースは、前方車両が不要な急ブレーキをかけた場合や、夜間に無灯火で停車していた場合、ブレーキランプが故障していた場合、駐停車禁止の場所に停まっていた場合などが挙げられます。

こういったケースでは、追突された側にも10~20%程度の過失が認められることがあり、違反点数が加点される可能性もあります。」とのこと。

つまり、駐車禁止の場所に停まっている際に追突された場合を考えてみると、被害者側にも過失割合が付き、駐車違反が成立して違反点数が加点される可能性もあるということです。

もちろん、追突された側の運転方法や駐車方法に何の問題もなければ、追突した側に全過失が認められ、被害者に違反点数が加点されることはありません。

しかし、被害者側にも過失が認められ、違反点数が加点された場合、更新時にゴールド免許ではなくなり、反則金も科されるため注意が必要です。

ちなみに、”過失割合”は示談金額にも大きく影響を与える要素でもあるため、加害者側は被害者側の過失を主張してくる可能性もあります。加害者側の主張に納得がいかない場合、弁護士に相談するなどして、厳密な過失割合を算出してもらいましょう。